家具好きが最後に行き着くといわれる!? 北欧デザインの巨匠「ポール・ケアホルム展」の見どころ&グッズ紹介
日本が世界に誇る、椅子研究家・織田憲嗣さんのコレクションから出展
織田憲嗣さんは、25年以上に渡って、モダンリビング誌上で20世紀の名品である椅子や日用品について執筆、連載してくださっています。 今回のケアホルム展の主な出展である織田コレクションは、織田さんが50年以上に渡って収集、研究してきた家具、照明、食器、カトラリー、おもちゃなど8000点以上からなり、文献、写真、図面など2万点に及ぶ資料と共に、系統立てて集積された世界的に貴重なコレクションです。 北海道東川町は2016年から公有化を進め、現在、1300脚以上を文化財登録しています。 東川の菊地伸町長は「旭川家具を生産している地で、散逸させずに織田コレクションを生かすべき、と東川町での公有化を決断しました」と語ります。
夢のコラボレーション。会場構成は世界で活躍する著名建築家・田根剛さん
今回、パナソニック汐留美術館でケアホルム展を開催するにあたり、織田さんは建築家の田根剛さんに会場構成を依頼しました。 エストニア国立博物館、弘前れんが倉庫美術館、帝国ホテル東京新本館の建て替えプロジェクトなどで知られ、パリに拠点を置く田根剛さんは、北海道東海大学旭川校の出身。いわば、織田さんの教え子にあたります。 「今回、ケアホルム展の依頼を頂き、織田先生の力になれれば、とお引き受けしました」と田根さん。 そこには、25年前に初めて見た織田コレクションへの思いと、織田さんへの深いリスペクトがありました。 1年間と準備期間が限られていたこともあり、田根さん自らが会場構成を決め、そこから深めていったそうです。 椅子としてではなくケアホルムの作品として、ディテールが見えなくては意味がない、と色を消し、光を絞り、あえてモノクロームのなかで見る構成に。 「忙しい東京では、それくらい環境を遮断しないとケアホルムの美は見えてこないと思ったのです」 黒い台は極力薄く見えるようにし、壁から数センチ離して片持ち構造として、細い脚は2本だけ。 織田さんは「田根さんはケアホルムの目になっていた」といいます。 「大学在学中に、織田1000脚展といって、講堂に織田コレクションの椅子を1000脚並べて実際に座ることができる機会があり、今思うと、凄い経験でした。この展示は、そのことへのオマージュでもあります」とは、田根さんの言葉です。