NTT・KDDI・ソフトバンク・楽天、災害復旧で新たな協力体制
NTTグループ5社とKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの8社は、大規模災害発生時のネットワークの早期復旧を目的とした新たな協力体制を構築し、12月から運用を開始した。 【この記事に関する別の画像を見る】 NTTグループとKDDIが従来から取り組んできた協力体制の「つなぐ×かえる」プロジェクトに、ソフトバンクと楽天モバイルが参画し、通信事業者間の連携の推進・強化を図る。 新たな協力体制の下では、各社のアセット(資産)を共同利用する。大規模災害の発生時に、事業所、宿泊場所、資材置き場、給油拠点などの各社が保有するアセットを共同で利用し、被災地のネットワークの復旧活動を相互に支援して早期復旧につなげる。これには、Starlinkなどの新しい機材や特殊車両の共同利用なども含まれる。 NTTグループとKDDIが保有する船舶を共同で活用する取り組みに、ソフトバンクと楽天モバイルが参画する。各社が船上基地局を展開できるようにするほか、KDDIは復旧活動を行なえる船舶の追加も行なう。 モバイル通信事業者と固定通信事業者の連携も強化する。大規模災害では固定通信網の支障箇所を早期に特定することが課題となっており、各社で連携を強化、窓口を整理し、復旧作業の優先順位を明確化する。特に携帯電話基地局向けの固定回線の復旧を迅速化することで、被災地のモバイルネットワークの早期復旧につなげる。 ■ 早期復旧への“想い”で結集 2024年1月1日に発生した能登半島地震では、被災地へのアクセスの難しさから復旧が遅れ、各社のさらなる連携強化や効率化が課題として浮かび上がった。 今回の8社の協力体制はそうした教訓から得た取り組みを推し進めるもので、「各社で検討している内容を、共有しあいながら議論していくことが重要」(NTT 技術企画部門 災害対策室 室長の森田公剛氏)としている。 また、「被災地の不安をいかに取り除けるか。そういう想いはどこの会社も同じ」(同)とし、各社の事業規模やアセット量(持ち出しの大小)は無関係の取り組みになっている。 現在検討が進められている事業者間ローミングについては、今回の協力体制とは別の取り組みだが、各社で協調する方法が増えるものとして、活用を検討していく方針。
Impress Watch,太田 亮三