福岡県に600年の歴史をもつ最高級茶葉が存在した!銘茶「八女茶」を知っていますか?
高品質な玉露の生産地である福岡県八女。そこで作られる八女茶の栽培方法は室町時代から受け継がれ、600年を迎えました。全国きっての高級茶葉「八女伝統本玉露」の魅力とは―― 【写真】てん茶とは…? * * * * * * * ◆全国的にも高く評価される銘茶 八女茶とは主に福岡県内で作られたお茶の統一ブランド名で、主な生産地は県南地域の八女市、筑後市、みやま市、広川町、うきは市などに広がっています。 福岡県南部に広がる九州最大の筑後平野は、農産物の栽培に理想的な気候風土にあり、特に八女地方は、古来よりお茶の栽培が盛んに行われてきた土地柄です。 一級河川・筑後川と矢部川流域は筑後平野南部に位置し、肥沃な土壌と豊富な伏流水に恵まれています。日中は気温が高く、しかも夜間は冷え込む特有の内陸性気候に加え、降雨量も多く、茶栽培に適した自然条件を満たしています。 こうした気候と土壌を生かし、さらに伝統ある技法を用いて丹念に栽培・製造される八女茶は、八女地方の代表的特産品の一つであり、味・香り・色の3点を兼ね備えた銘茶として全国的にも高く評価されています。
◆都道府県別茶生産量 令和3年度の調べによると、全国の茶栽培面積は3万8000ヘクタールで、福岡県は1520ヘクタール。また、全国の荒茶生産量は7万8100トンで、福岡県は1650トン(農林水産省「作物統計」より)となっています。 福岡県は茶栽培面積全国5位、荒茶生産量全国6位の位置づけにあり、シェアは小さくとも、実は古くからの主産地の一つなのです。 お茶の主産地にはそれぞれ特徴がありますが、福岡県は煎茶、玉露とかぶせ茶の生産に強みを持っています。 現在の八女茶の茶生産農家数は約2000(農林水産省「作物統計」より)戸を数え、平坦部では煎茶、かぶせ茶、山間部では玉露が多く生産されています。
◆八女茶の種類と特徴 八女茶の代表的な種類と特徴を紹介します。 【煎茶】自然光下で栽培し、摘み採った新芽を蒸して揉み、乾燥して製造したもの。さわやかな香りとうま味・渋味が調和し、緑茶のなかで最もよく飲まれている代表的なお茶。上級品ほどうま味や香りがある。 【玉露】稲わらや寒冷紗などで収穫前16日以上20日間前後の棚被覆を行い、日光を遮って栽培した茶葉を煎茶と同様に製造したもの。うま味の素となるアミノ酸の含有量が多く、逆に、渋味の素となるタンニンなどが少なく、うま味が豊富なコクのある味わいに特徴がある。 【てん茶(抹茶)】玉露と同様に、被覆資材を用いて栽培した茶葉を蒸し、揉まないで乾燥させたもの。てん茶を茶臼などで微粉末状に製造したものが「抹茶」で、香りや味わいが深いのが特徴。飲料や菓子、アイスクリームの原料としても使われている。 【かぶせ茶】わらや寒冷紗(かんれいしゃ)などで収穫前7日以上の被覆栽培を行い、煎茶と同様に製造したもの。玉露と栽培方法は似ているが、被覆をする期間が短い。玉露と煎茶の間に位置し、玉露のような香りとうま味、煎茶のさわやかさを両方楽しめる。