不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
■環境汚染に貢献するだけ「ターボタイマー」
暖気運転と同様に思い起こされるものに「ターボタイマー」がある。 筆者も前述した初マイカーであるファミリアにアフターパーツであるターボタイマーを装着していた。当時、ターボ車では必須とされていたためだ。 若い世代はその存在すら知らない人も多いかもしれないが、ターボタイマーとは、高速走行などでターボ車のタービンに高負荷がかかった際、すぐにエンジンを停止すると、タービンの熱が放熱できず焼き付いてしまう。それを防ぐため、キーを抜いてもタイマーで一定時間エンジンを動かしてタービンを冷却する装置だ。 キーを抜いてもアイドリングを続ける愛車がすこぶる格好良く感じたものだが、ターボのブースト圧を上げているチューニングカーならいざ知らず、ノーマル車両の普段使いでタービンを焼き付かせるほどの猛者は少なかった。 さらにいえば、暖機運転しかり、不要なアイドリングは環境面からもお薦めできる行為ではない。
■AT車にとっては迷惑運転でしかない!?「エンジンブレーキ」
先日、SNSの投稿を見て驚愕した。「前走車がブレーキランプを踏まずに減速する迷惑運転をしていたので通報した」という内容だ。 たしかに、AT車のドライバーにとってはブレーキを踏まずに減速されることは恐怖なのかもしれないが……。 マニュアル車の場合、アクセルをあおるブリッピングでギアとエンジン回転数を合わせながらシフトダウンし、エンジンブレーキを併用して停車するというドライバーも多い。 極端な場合、停止寸前までブレーキペダルを踏まずに減速することができ、それがマニュアル車の醍醐味であると考えている人も多いはずだ。 ただし、エンジンブレーキはブレーキランプが点灯しないため、後続車には減速していることが気づかれにくい、このため追突事故の要因にもなりえる危険な運転だ、というわけである。 ということで、AT車が普及した現代に、MT車のシフトダウンによる信号停止は見直すべきマナーなのかもしれない。 ただ前述の「エンブレだけで止まる前走車マジ迷惑」というAT車ドライバーも、前走車のブレーキランプのみをあてにせず、十分な車間距離を空けて運転すれば、通報に値する危険な運転とはならないこともたしか。 かたくなに信号でブレーキを踏まないマニュアル車のドライバーも周りのドライバーへの気遣いがあれば、後続車への注意喚起のためにフットブレーキを併用する心遣いがあってしかるべきなのかもしれない。
■時代遅れの習慣的テクニックは現代のクルマに不要なのか
エンジンの回転合わせのブリッピング、ヒールアンドトゥ、カウンターステア。マニュアル車がAT車となり、クラッチペダルが消え、ブレーキにABSは必須装着され、イッキに踏んでもロックせずに最小限で停止できるようになった。 クルマの進化とともに、以前は当然のように行われていたクルマの運転技術や習慣は過去のものとなり、ドライバーがクルマにサポートしてもらう領域はますます広がるばかりだ。 半面、ドライバーが運転のなかで得る技術や習慣が失われてしまうことを、何となくさびしく感じてしまうのは自分だけではないだろう。