「年を取っているから飼っちゃダメ」に違和感―室井滋が考える“動物と共に生きる”ということ
一人暮らしのお年寄りも猫を飼っていいと思う
――高齢者とペットの“老老介護”が問題になっていますよね。高齢になられたら新しいペットは飼わないでくださいとか、里親募集のサイトでも「高齢の方はご遠慮ください」というケースも多いですが、どう思いますか? 室井滋: 年を取っているから飼っちゃダメって頭ごなしに言うのは、私はいかがなものかなって思いますね。猫を飼っている人が「もう年だから最後の猫ちゃんですよ」って言っていたことがあって。もう飼わないんですかって聞くと、「私の方が先に逝くから」って。気持ちはわかるけど、そんなこと言わないでって思っちゃう。 だって、一人暮らしの人はこれから増えるんですよ。だからこそ、何か飼ったらいいんじゃないかなって思う。年寄りになればなるほど認知症の問題も出てくるじゃないですか。飼う方もきちっとしようっていう気持ちさえしっかり持ち続けていれば、そう思うことが自分の健康にも結びつくし、認知症にもなりにくいと思うんですよね。犬は散歩をしなきゃいけないから大変だと思うんですけど、猫だったら散歩の必要はないので、むしろお年寄りにとっては猫がいた方が幸せじゃないかなと、すごく思いますね。 自分に何かあった時に飼っている猫をどうするかということさえきちっと決めておけるなら、猫を飼うのはお年寄りにとっていいことなんじゃないかな。生き物がそばにいると、すごく気持ちもしっかりされると思うし。人はそれほど寄り添ってくれないけど、猫はね、寄り添ってくれますよ。 ただ、若い猫はすごく動くから、子猫を飼うのはお年寄りだときついかもしれないですね。5 歳を過ぎてしまえば猫もドンとしてますから、そんなにはいたずらもしないし、動き回ることもないので、お年寄りは少し年を取った猫を飼うようにするというのもいいかもしれません。 猫にしても、短い間で相手がお年寄りでも、誰も面倒を見てくれないよりは面倒見てもらった方がいいに決まってますから。いろんな事情で引き取り手がいなくて、かわいそうなかたちで終わっていっちゃう猫がいっぱいいるじゃないですか。だから、保健所からでも猫を引き取って飼いたいっていう人がいらっしゃったら、そういう人に飼ってもらった方がいいのになって思いますね。 若い会社員の方だとほとんど1日中家にいなくて、猫だけでずっとお留守番だったりすることも多いけど、年寄りはずっと家にいますから。猫にとっては、その人が若かろうが年を取っていようが、関係ないんじゃないかな。年寄りの方がずっと一緒にいてくれるから、むしろ嬉しいかもしれませんよ。