「ツイートをためらう自分にモヤモヤ」渡辺満里奈が自分なりの発信を模索する理由
おニャン子クラブのメンバーとして15歳でデビューし、タレント、歌手、ドラマ出演など多方面で活躍してきた渡辺満里奈さん。2019年に夫であるネプチューンの名倉潤さんがうつ病を発症した際、世間に公表したことをきっかけに「もっと声を上げてもいいんだと気がついた」と話す。一方で、芸能活動をしている立場で、自分の意見を発信することをためらうことも少なくないという。50代を迎え、自分なりの発信を模索する渡辺さんに話を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
年齢を重ねるごとにすごく楽になる感覚がある
――50代になってから新たに生まれた心境などはありますか? 渡辺満里奈: 年齢を重ねるごとにすごく楽になっていると感じています。50代になって自分の考え方もアップデートされて、社会や政治のことも含めていろんなことを見聞きするのが楽しくなったし、自分なりにどう発信すれば良いかを考えることも楽しいです。これまで自分で作っていた制約がどんどん取れていくような感じというか。この感覚が「年をとると怖いものがなくなる」ということなんですかね。 私のように若い頃から活動をしていると「劣化した」「見た目が変わった」などと言われることもあります。ただ、以前は年齢を重ねることをネガティブに捉える人が多かった一方で、最近では年齢を重ねることを魅力だと捉える人が増えましたよね。年齢を重ねることに対する言葉の使い方や見方が随分変わったように思います。私はTwitterが大好きでよく見ているんですが、「その人自身のありのままで良い」という考え方が随分浸透しているように感じることが多いんですよね。
夫の病気を公表したことで「もっと声を上げてもいいんだ」と思えた
渡辺さんの夫であるネプチューンの名倉潤さんは、2018年6月末にけい椎椎間板ヘルニアの手術をした後、手術の侵襲(しんしゅう)によるうつ病を発症。2019年8月から2カ月ほど芸能活動を休んだ。渡辺さんは夫のうつ病について、これまでさまざまなメディアで語っている。 ――名倉さんがうつ病と診断されたことをきっかけに、渡辺さん自身にも大きな心境の変化があったそうですね。 渡辺満里奈: 夫の病気を公表したときは、世間からもっと責められるんじゃないかと思っていましたが、「公表してくれてすごく良かった」というコメントや、うつ病当事者の方からも「自分も理解されなくて困っています」という声が寄せられたんです。夫と同じようにうつ病で苦しんでいる人がたくさんいることを知って、「自分はもっと声をあげてもいいんじゃないかな」と思えたのは大きかったと思います。 ――また、お子さんが産まれたことも心境の変化につながったと伺いました。 渡辺満里奈: 独身時代や子どもがいないときは、周りを気にせずに自分のことだけを考えていれば良かったんです。でも、子どもが産まれてからは「この子たちが未来そのものなんだ」と思うようになったことで社会の見え方がガラッと変わって、視野が広くなったと思います。 ――特に関心を持ったのはどのようなことでしたか? 渡辺満里奈: コロナ禍になってからは政策などに対して「なんかおかしいな」と感じることがとても増えました。そんなとき刺激になったのが、ラッパーのダースレイダーさんのYouTubeチャンネルでライブ配信される『ヒルカラナンデス』です。ダースレイダーさんとお笑い芸人のプチ鹿島さんが、政治をすごく真面目に語りながら見事にエンターテインメントに昇華しているのがとても面白くて、欠かさず見ています。 芸能人など表舞台に立つ人が政治について意見すると、「影響力があるんだからそういうことを言うな」と発言の制限を求める声が上がりますが、これっておかしいなってずっと思ってたんです。YouTube番組の『ヒルカラナンデス』を見てからは「芸能人も政治を一緒に楽しく語っていいんだ」と気づきました。