「年を取っているから飼っちゃダメ」に違和感―室井滋が考える“動物と共に生きる”ということ
アナログな人間として「スレスレの生活」―自分にとって一番いい選択を見極めたい
――年齢に関する話題が出ましたが、ご自身について年齢に伴う変化を感じることはありますか? 室井滋: いろいろありますよ。物忘れもありますし、自転車で坂道を登るのがきついと感じることもあります。食事にも気を使うようになりました。若い頃は1日5食は食べていましたが、今は2食半くらいにしています。昔は、力ずくでいろいろなことをやっていたけれど、先のことを考えて行動するようになりました。これが年を取ったってことなんだろうなと。 時代の変化にどう対応しようかと考えることもあります。もともと新しいもの好きで、誰も持っていない時にショルダーホンを持っていたくらいなんです。ショルダーホン、知ってます? 鞄みたいにして、肩から下げて使う携帯電話です。 でも、今はすっかりアナログ人間です。タブレットは調べものとカードゲームのみ、パソコンもできないし、電子マネーにも対応できていないし、電気や水道料金の口座引き落としさえしていません。現金主義で、いろいろなものが自分の見える範囲にないと嫌なんです。最近は現金が使えないお店が増えているから、唯一PASMOだけは持っています。時代からは逆行しているけど、アナログなものがなくなると困る。でも、これから年を取っていった時に、やっぱり知っておかないといけないこともあるじゃないですか。時代の流れとか、これを使えないと不自由するよとか。私はSNSもやらないし。でも、そういうものがあって、みんながこんなふうに使っている、というのだけは理解しないとって思っています。今の時代で結構スレスレの生活を送っているのかもしれませんね。エッセイの原稿も、原稿用紙に手書きで書いたものを、コンビニから出版社宛にFAXしています。ちなみに、FAXは上手よ(笑)。 最近はタレントさんも、SNSのフォロワーが何万人いるとかでキャスティングされるんだよって聞いて、私みたいな年寄りは関係ないでしょ?って思っていたんだけど、そうでもないって言われてがっくりきちゃいましたね。 頭がしっかりしている間にいろいろなことに対応できるようにしておくべきだと思う一方で、自分が新たにやりたいことに時間を費やした方がいいんじゃないかなと思ったりもします。例えば楽器とか。でも全部はできないから、自分にとって何が一番いいのかを選択すべきだとは思いますね。 ----- 室井滋 富山県出身。映画「居酒屋ゆうれい」「のど自慢」などで数々の映画賞受賞、2012年に日本喜劇人協会喜劇人大賞特別賞、2015年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞。エッセイストとして活躍するほか、2011年に『しげちゃん』(金の星社)で絵本原作デビュー。近著に絵本『しげちゃんのはつこい』(金の星社)、『会いたくて会いたくて』(小学館)、他電子書籍化含め著書多数。全国各地でしげちゃん一座 絵本ライブを開催中。 文・中村英里 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)