NBAで2度の優勝経験を持つレイ・アレンが語った“ファイナルで活躍する秘訣”とは?
■「子どもたちがディフェンスの重要性を理解するといいですね」
アレンは3ポイントの名手として知られ、レギュラーシーズン通算2973本成功でNBA歴代2位、プレーオフでも385本成功で同5位、ファイナルでは55本成功で同7位という見事な実績を残してきた。 そうしたなか、子どもたちへのクリニックを終えたこともあり、「ディフェンスの重要性、子どもたちへ伝える重要性は何ですか?」という質問になり、アレンはレイカーズ一筋12シーズンをプレーし、アービン“マジック”ジョンソンやカリーム・アブドゥル・ジャバーらとともに5度の優勝を経験したマイケル・クーパーの名を挙げていた。 主にシックスマンとしてプレーしたクーパーは、相手チームの得点源とマッチアップしてきた。オールディフェンシブチームに8度名を連ねた男は、1986-87シーズンに最優秀守備選手賞にも選ばれた。 「ここ数カ月、NBAで起こったなかで良いことはマイケル・クーパーの殿堂入りだと思っています。彼は得点などで目立つわけではないけど、ディフェンスの良さだったりそういったところで1980年代のレイカーズの輝かしい成績に貢献したので、子どもたちが彼の殿堂入りを見て理解するようになるといいなと思っています」 そしてディフェンスの重要性についても、今年のファイナルを引き合いに出してこう語っていた。 「ファイナル最初の3試合を見ても、ルカ・ドンチッチ(マーベリックス)のディフェンスがあまりよくなかった。そこに対してボストンがどんどんアタックしていっている印象があったんですが、そういうところを見て子どもたちがディフェンスの重要性を理解するといいですね。ディフェンスこそが優勝に繋がるという言葉はよくありますが、やっぱりシュートの方が魅力的なので、そのなかでディフェンスがどれだけ重要なのかを伝えることは必要だと思っています。 優勝するために必要なのはテイクチャージする人だったり、ディフェンスでローテーションできる人だったり、あとはコミュニケーションをしっかり取れる人、そういった視点を子どもたちに落とし込んでいくこと。過去で言うと、ラトレル・スプリーウェル(元ニューヨーク・ニックスほか)は、大学の頃からディフェンスがすごく長けていた選手なんですけど、キャリアが進むにつれてオフェンス力を身につけていった。軸としてはディフェンスがあった」 すると現役でそれを体現できている選手は誰かと聞かれ、アレンは古巣セルティックスで活躍するデリック・ホワイトを称えていた。 「今だと毎試合見ているデリック・ホワイトが特に体現できている選手の1人かな。コーチが彼のためにセットを用意するとかはないんだけど、オフェンスではギャップをしっかり見つけてそこのバランスを整えながらプレーすることができています。自分の能力を最大限に駆使していろんな選手を守ることができるので、チームメートとしては彼とならどこまでも戦いにいこうという気持ちになれる。そんな選手だと思っています」 アレンの言葉どおり、ホワイトは18日に行われたファイナル第5戦で4本の3ポイント成功を含む14得点を奪っただけでなく、4本のオフェンシブ・リバウンドを含む計8リバウンドに2スティール1ブロックと攻防両面で貴重な働きを見せて勝利に貢献。 セルティックスはマブスとのシリーズを4勝1敗で制し、球団史上18度目のタイトル獲得に成功。ドンチッチとカイリー・アービングという超強力なガードデュオを擁するマブスを平均99.2得点に抑え込んだディフェンスも光った。 その第5戦で、アレンは会場のTDガーデンへ駆けつけた。大勢のファンやOBたちとともに古巣セルティックスの優勝を見届け、試合後にはコートで選手たちを称えていた。 文=秋山裕之
BASKETBALL KING