DeNAドラ1遊撃手が“ショート一筋”をあきらめた日「正直ちょっと悔しい気持ちはありました」…森敬斗22歳が語る、5年目の変化
抜群の身体能力を武器にした守備や走塁で試合の流れを変えられる、稀有な“ゲームチェンジャー”。横浜DeNAベイスターズの森敬斗がグラウンドで目いっぱい躍動している姿を見ると、何かが起きそうな期待感が漂う。 【画像】サングラスを取ると…「イケメンすぎるやろ」5年前のゴールデンルーキー・森敬斗の素顔を見る 「5月の一軍昇格以来、試合に多く出させてもらって、上手く行くことも行かないこともありますが、両方とも学びになっています」 真摯な表情で森はうなずいた。
プロ5年目で初の決勝打
今年のセ・パ交流戦、5月31日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では、プロ5年目にして初となる決勝打を放ち、チャンスを生かし切れなかったこれまでの打席とは違う姿を見せることができた。 3対3で迎えた10回表、2死1、2塁のチャンスで森は打席へ向かった。この前の打席で三振を喫しており、またベンチにはチャンスに強いベテランの大和も残っていたが、首脳陣はそのまま森を送り出した。 「もしかしたら代打かもしれないと思ったんですけど、何もなかったので自分が絶対打つしかない、絶対に決めたいと思って打席に入りました。けど……」 そう言うと、森は不思議そうな顔をした。 「すごく冷静だったというか、落ち着いて打席に入れたんです」 日本ハムの左腕・河野竜生の投じた初球のカットボールを空振りすると、2球目は低めにきたストレートを見逃した。 「初球はちょっと雑だったんですけど、しっかり振って行けたのが良かったし、あの空振りで次のボールをしっかり目付けができ見逃せたんです」 そして3球目、高めに入ってきたカットボールをセンター前へ弾き返し、決勝点を奪った。 「強引にならず、しっかりとコンタクトができた結果です」
昨年と比べて感覚はまったく違う
まだまだ研鑽は必要なのだろうが、これまでとは趣の違った様子を森は漂わせていた。期待に応えられることが信用を生み、どれほど自信に繋がるか。森はそれを痛いほど理解している。 その後、打撃面において勢いを増すかと思われたが、厳しい状況が続いてしまう。打率は2割前後を行き来し、スタメンを外されることもあれば、代打を送られることもあった。しかし森は下を向かない。手のひらに、体の内に、感覚として残る確たるものがあった。 「率は残せていませんが、昨年と比べてコンタクトの感覚はまったく違うし、しっかりとバットを出せているという手応えがあるんです。あとは試合での対応力や状況判断だと思っていて、自分になにができるかってことをちゃんと考え、打線の中で役割を果たしていきたいなって」