DeNAドラ1遊撃手が“ショート一筋”をあきらめた日「正直ちょっと悔しい気持ちはありました」…森敬斗22歳が語る、5年目の変化
割り切りと覚悟
確かにストレートへのコンタクト率は上がっているように感じられる。オフの自主トレではソフトバンクの近藤健介に手ほどきを受け、体よりも前だったコンタクトポイントではなく、ボールをしっかりと呼び込んで強いスイングができている。 「もう少し大胆に真っすぐに入っていきたいんですけど、まだボールが中に入りすぎてしまいファウルになっているのが課題ですね」 とはいえ、ボールを上から強く叩くわけでなく、ベース盤の上を長く使うレベルスイングになってきている。 「僕としてはベース盤の上でバットの面が返らないように意識しています。そうすればヒットポイントが増えますからね。やっぱりいい打球が飛んでいる時はタイミングがしっかりと取れているし、自分の中で割り切りというのか、若いカウントでも空振りを恐れずしっかり入って行ければいいという覚悟があるので、あとは練習通りに振っていくだけです」
走塁は「叩く」足運びで
苦しいカウントや追い込まれてしまうと、どうしても脆弱さがまだ顔を覗かせるが、自分がなにをすべきかを森は理解している。あとは課題を突破するだけだ。 攻撃面において森が他の選手と一線を画すのが、やはり走塁だろう。出塁さえすれば、盗塁を含めチームに躍動感が生まれる。森が今季突き詰めているのは“走り方”だ。 「盗塁に関してスタートは不得意ではないので変えてないんですけど、大事なのは初速からいかにスピードに乗せるのか。走り方に関しては過去に怪我もあったのでトレーナーさんといろいろ話して、これまでのような“掻く”ような足運びではなく、“叩く”っていうんですかね。地面の反発をしっかり使うことでスピードアップは確実にしていると思います」 そして森の最大の武器である守備。肩の強さは言うに及ばず、入団以来課題だった下半身の使い方が巧みになり、予測、一歩目、捕球、スローイングが円環を成すようになってきている。
敬斗が守備に入っているとむちゃくちゃ安心する
森の守備における貢献度と信頼度をリリーバーの徳山壮磨は次のように証言する。 「自分は(森)敬斗が守備に入っているとむちゃくちゃ安心するんですよ。実際に試合では助けられていますし、あの肩と守備力はピッチャーから見ても相当でかい。深いところに打球が飛んでも敬斗ならアウトにしてくれるっていう部分で投げる上で心理的にも楽だし、安心材料になるんです」 森は、昨年夏にやってしまった右手有鉤骨の骨折の影響もあり春季キャンプはB班(奄美)スタートだったが、そこで万永貴司野手コーディネーターやファームの柳田殖生内野守備走塁コーチ、藤田一也育成野手コーチのもと守備を徹底的に磨いた。それは森にとって非常に充実した時間だったという。