平安貴族は【おやつ】に「かき氷」を食べていた。シロップは何味だった!? ほかに食べていたメニューとは?
『光る君へ』ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は平安時代の「おやつ」について見ていきましょう。 【画像】NHK大河『光る君へ』♯19
平安貴族が食べていたおやつはヘルシー志向の方必見!
平安貴族の食文化は私たちの食文化と同じくらいゆたかであったといっても過言ではありません。 彼らの正式な食事は1日に2回(朝夕)と少ないものの、米、魚、野菜などを比較的バランスよく食べていました。いずれの料理も添加物は不使用ですし、味付けは薄めですので、身体にやさしいといえるでしょう。 (超加工食品だらけの食生活になりがちな現代人は平安貴族の食生活を少しは見習わないといけないかも!?) 人はいつの時代においても甘味を求めるようで、平安貴族もおやつを食べていました。彼らがおやつにしていたものは私たちにとっても身近なものが多く、かつ健康的とみなされるものがほとんどです。 ◆ 果物 平安貴族はおやつに季節の果物を食べていました。彼らが食べていた果物の中には私たちにとって馴染みのあるものもあります。梨、栗、柚子、桃などを食べていたそうですよ。 それぞれの果物の効能は現代においてよく知られています。例として、梨、栗、柚子、桃の効能を見てみましょう。 果物には健康促進や美容効果を期待できます。美しくなりたい方や健康を維持したい方、不調に悩む方は果物の摂取量を増やすことをおすすめします。 余談ですが、現代人は果物を盛りつけておき、訪問客に出していますよね。平安貴族たちも蓋の上などに果物を置いておき、お客さんにも果物を出していたそうですよ。 ◆ 菓子 平安貴族たちは菓子も食べていました。彼らが愛した菓子の中には私たちが再現できそうなものもあります。また、無添加のものを希望する方も安心して食べられるヘルシーな菓子ばかりです。 ・けずり氷(かき氷) ・餅(つばき餅、索餅など) ・揚げ菓子 けずり氷、いわゆるかき氷は現代においても人気ですが、清少納言も大好きだったそうですよ。当時、冷凍庫がなかったため氷の貯蔵は困難でした(*1)。このため、けずり氷は超高級スイーツで、身分の高い人しか食べられませんでした。 けずり氷のシロップには甘葛が使われていました。甘葛とはブドウ科の植物・ツタの樹液を煮詰めたものです。 当時、甘葛は甘味をつけるのによく使われており、椿餅も甘葛で甘みがつけられていました。 揚げ菓子は中国から伝わってきた菓子です。小麦粉や米粉をゴマ油やエゴマ油などの油で揚げた菓子のことをいいます。これらの油は現代において健康効果が高いと分かっており、摂取がすすめられています。 (ゴマ油にはコレステロールを下げる効果など、エゴマ油には老化予防効果などがあるそうですよ) 平安時代のスイーツは自然の恵みを感じられ、素材の風味を堪能できるものが多いですね。自然の素材のみで作られた餅などは身体にもやさしく、健康志向の方や美を意識する方も躊躇なく食べられそうです。 健康のためとはいえ、食べたいものを我慢してばかりの食生活にはものたりなさを感じるものです。“平安貴族風”とすることで健康的な食生活を楽しみながら実現できるはずです。 *1 京都には氷を製造・貯蔵する場所が数カ所あった。冬の間に氷を作り、穴の中に入れ、カヤなどをかけて溶けないようにしていた。 参考資料 ・川村裕子『平安男子の元気な!生活』 岩波書店 2021年 ・砂崎良 (著) 承香院 (監修)『平安 もの こと ひと事典』 朝日新聞出版 2024年 ・須藤健一『第1巻 歴史のカンちがいをさがせ! (君は気づけるか!謎解きイラスト図鑑) 』 Gakken 2023年 ▶本記事では平安貴族たちのおやつ事情についてお伝えしました。これで物語がより身近に感じられそうですね。 この記事の【前編】『平安時代、貴族の娘でさえ「安定した人生」は送れなかった!生活困窮と隣り合わせな「運ゲー」な生き方とは【NHK大河『光る君へ』#19】 』では、19回放送の定子を取り巻く環境が少しずつ変化し、伊周が起こすトラブルについて解説しています。
ライター・アメリカ文学研究者 西田梨沙