ルービニ氏、高インフレ環境に強い債券戦略選好-トランプ政権見据え
(ブルームバーグ): 著名エコノミストのヌリエル・ルービニ氏は米長期債利回りの上昇が徐々に進む状況に備えている。より緩和的な金融政策や高関税を支持するトランプ次期米大統領の施政方針が物価安定を損なうリスクがあるためだ。
ルービニ・マクロ・アソシエーツを率いる同氏は、利回り曲線のスティープナーのポジションを取る方針。これは、長期債と短期債の利回り格差拡大を想定した米国債の人気トレード。「トランプトレード」とも呼ばれるこの戦略は、利下げで恩恵を受ける。
同氏は27日にブルームバーグテレビジョンの番組で、「過去に広がったインフレショックはどれも、名目および実質の両方で長期債利回りが上昇することを示唆している」とした上で、「インフレ加速局面でうまく機能するものを組み合わせた代替戦略が必要だ」と語った。
株式6割、債券4割の「60・40」といった人気ポートフォリオや米国債の長期デュレーション戦略などリスク抑制を意図した伝統的な取引は、インフレ下でアンダーパフォームすると予想。トランプ氏が掲げる関税と移民政策が現実のものとなれば、インフレが悪化すると想定している。
「インフレが徐々に進む環境では、ポートフォリオの株式部分でも債券部分でも損失を出すことになる」と述べた。ルービニ氏は2008年金融危機を事前に警告したことで評価を確立した。
ルービニ氏が最近設定した上場投資信託(ETF)「アトラス・アメリカ・ファンド(USAF)」では期間短めの米国債ETFが最大の組み入れとなっている。
USAFはルービニ氏が共同設立したフィンテック企業アトラス・キャピタル・チームにとって初のETF。同社は、制御不能なインフレ、気候変動、社会不安など高リスクシナリオから資産を守る投資戦略の開発を支援している。
同氏は「平均的なインフレ率が2%ではなく5%になるような世界では、債券利回りは現在の4%台ではなく、7-8%に近づく可能性がある」とした上で、そうなると、これまで安全資産とされてきた米国債は「大きな価格リスクにさらされる」と予想した。