【「死後離婚」が増加中】「もういい加減にして!」「親戚付き合いさえしたくない!」夫の死後に「積年の恨み」を晴らす「死後離婚」驚きの実態 義理の家族と「完全に縁を断ち切る」方法は?
介護は実子、などと言われてひさしい世の中です。昔のように「お嫁さん」が義理の両親の介護を一手に引き受けるというようなケースは、減りつつあるでしょう。 それでも、まだまだそういった古い価値観も残っています。 民法では「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」とされています(違反しても罰則があるわけではありませんが)。 つまり、実子や孫、同居する親族には介護義務があるのですが、A子さんには当てはまりません。
A子さんと義理の家族、つまり「婚姻によってできた親戚」は「姻族」といいます。 姻族に介護義務はありませんが、夫が亡くなったとしても、縁が切れるわけではありません。 困ったときに助け合いが望まれる関係性は残るのです。 亡くなった夫には申し訳ないけれど、A子さんは義理の家族とは「もう親戚付き合いさえしたくない」「完全に縁を切りたい」と考えました。 A子さんのように、配偶者の死後に義理の家族と縁を切りたいという場合、「姻族関係終了届」を提出することで、それが可能になります。
「姻族関係終了届」の提出は、「死後離婚」などと呼ばれます。 役所にこの届を提出するだけで、姻族(配偶者の血族)との縁は断ち切られ、扶養や介護を求められることもなくなります。 ■遺産や遺族年金の受け取りに支障はない 「姻族関係終了届」は、配偶者の死後であれば、いつでも提出することができ、提出期限もありません。 配偶者の血族との関係性(姻族関係)が終了するだけなので、配偶者との関係、つまり相続人としての権利や立場まで失うわけではありません。
配偶者の遺産を返却する必要もありませんし、遺族年金も受け取れます。 また、子どもには影響しないので、祖父母と孫の関係性に変わりはなく、代襲相続人としての権利も残ります。 A子さんの場合、今後義理の両親が亡くなれば、子どもがA男さんの代わりに相続人になります。 本人の意思で提出できるので、縁を切る相手(義理の家族)への報告義務もありません。 相手にすれば「勝手に縁を切られた!」ということになりますが、実際には戸籍を確認しないかぎり、気づかれることもありません。