「覚えておいて欲しいのだが……」古代ローマの哲学者が教える「宴会ルール」が現代でも参考になる
至福の一杯を目指して目の前の仕事を頑張る……それは今も昔も同じだ。特に快楽主義が蔓延りモノに溢れた古代ローマでは飽食の日々が続いていた。そんな中、ギリシャ哲学の派閥であるストア派は品性を失った人々を見て嘆き、節度を乱す酒の誘惑に打ち勝つ方法を模索し続けていた。ではストア派の哲学者たちはどういう風に酒と向き合ったのだろうか?※本稿は、ブリジッド・ディレイニー著、鶴見紀子訳『心穏やかに生きる哲学 ストア派に学ぶストレスフルな時代を生きる考え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● ストア派が推奨する 酒との付き合い方 ローマ・ストア派の生きていた時代は、現代とそれほど違わず、快楽主義がはびこり、物が豊富にあって過剰なほどでした。ローマ時代の人々は飲んで盛り上がるのが大好きだったのです! その結果、ストア派は誘惑に逆らって節度を保つにはどうしたらいいかを深く考え、沢山書き記しました。外国産の食べ物がローマ帝国のあちこちから供給され、現代なら航空便にあたる最速の手段で首都ローマへと運ばれました。 ストア派の考えでは酒と食べ物は特に要注意の存在でした。ストア派の教訓の中でも節度に関しては現代でも全く色褪せることがありません。 酔っ払うこと、酔わないようにすること、飲む量を制限すること、休肝日を設けること、周囲に気を配り常に気をつけること、飲む上でのルールや例外を作ること――どれも古代ストア派の人々にとって注意や努力を必要としました。「古代の人々は、現代人とまさにそっくり!」という本を誰か書いたらいいのに。 古代ストア派はお酒に関して、また、飲みすぎるといかに生活のルールが崩れるかについて、じっくり考えました。 アルコール類やその他のドラッグに頼れば依存症につながりかねず、そうなれば理性や自制心が損なわれるだけでなく品性が堕落するのです。