【改元記念連載】「ホモ・ヒストリクスは年を数える」筆者インタビュー 佐藤正幸・山梨大学名誉教授
「年を数える」とはどういうことか?
Q:これから始まる連載を通じて、読者に伝えていきたいことはありますか。 A:年を数える、ということ一つとっても、世界にはこれだけさまざまな考え方があり、それに基づいて世界中の人々が何千年と生きてきたということを知ってもらいたいですね。それによって、これまで当然だと思っていたことが、実は違うのではないか、ということに気付くことが出来るのではないでしょうか。新しい見方を獲得することは、社会生活を送る上でも、海外で仕事をする上でも、とても重要なことだと思います。 Q:地球という環境で生活するうえで、地球の自転や公転、太陽や月の位置とは無関係ではいられません。「年を数える」というのは、自分たちの環境とうまく付き合う方法なのだ、という気もしてきました。 A:そうですね。太陽と月と地球。この三つの組み合わせの中で私たちは生きています。「年を数える」というのは、ホモ・ヒストリクス、つまり歴史的存在としての人間が、この地球上でどのように生きていけばいいのかを必死に模索し、試行錯誤の結果、生み出してきた知恵である、ということができるかもしれません。その知恵に関する詳しい話は、今後の連載で紹介していきたいと思います。 著者紹介:佐藤正幸(さとう・まさゆき)1946年甲府市生。1970年慶應義塾大学経済学部卒。同大学大学院及びケンブリッジ大学大学院で哲学と歴史を専攻。山梨大学教育学部教授などを経て、現在、山梨大学名誉教授。2005~2010年には、President of the International Commission for the History and Theory of Historiography(国際歴史学史及歴史理論学会(ICHTH)会長)を務めた。主著に『歴史認識の時空』(知泉書館、2004)、『世界史における時間』(世界史リブレット、山川出版社、2009)、共編著:The Oxford History of Historical Writing :Volume 3:1400-1800 , (Oxford University Press, 2012)など。