【独占】ロッテ福田秀平が語ったFA移籍の真実と古巣ソフトB甲斐キャノンとの勝負の行方「だから僕は前へ出る」
手を挙げてくれた球団との交渉で再確認できたのは「守備と走塁」だった。 どの球団も、ときには細かなデータを提示して「守備と走塁」を絶賛してくれた。 「1点差や同点の緊迫した場面での守備固め、ここで走ってくれという場面での盗塁などを評価してもらった。山田(哲人)君(ヤクルト)に抜かれましたが、代走でいって32回連続盗塁成功の日本記録を作ったという自信はありましたが、そこを評価されて凄く嬉しかった。やってきたことは間違っていなかった。見てもらっていたんだなと自信につながりました」 ここ一番で代走として勝敗の帰趨を握る盗塁を決めてきた。その象徴が2011年から2015年5月9日の楽天戦まで続けた「32」個の連続盗塁記録だ。2019年にヤクルトの山田哲人が「38」に伸ばすまでの日本記録だった。 「自分で走るときは100%成功の材料が揃っているとき。感覚、一瞬のひらめきなんですが、行けると思ったら思い切りいく。癖を把握して走るのではなく、配球、次のバッター、状況、すべてを総合で判断して走るんです」 福田の盗塁は理論的だ。 「昔は右ピッチャーなら動いた瞬間にスタートを切り、外のストレートであってもセーフになるタイミングで走れた。二塁まで3.1秒。このタイムは縮まらない。でも相手バッテリー側は、削る時間がたくさんある。とくに最近はクイックの技術が相当上がっていて、タイム勝負になると負ける。だから他の要素を見極める必要があるんです」 福田はロッテ入団会見で「30盗塁」を目標に掲げた。実は、これまで、「レギュラーになってもいない人間が言うべきではない」と開幕前に目標の数字を口にしたことはなかった。 過去に最多は、9年前の22個。昨年は9個しか記録できていない。だが、「今年もまずは1軍。それを心の中で決めてむかっていく中で30盗塁を走りたいと思ったんです」という。 30盗塁を成功させるための大きな壁は元同僚、甲斐との対決だろう。 「甲斐キャノンVS福田の足」は今季のパの見どころのひとつでもある。 福田は対甲斐キャノンについても綿密なシュミレーションをしている。 「彼のスローイング時間は、最短で1.7秒台です。1.9から2.0秒のキャッチャーが多い中で、この数字です。ピッチャーが1.1秒のクイックで投げれば2.8秒でボールが二塁に到達します。そうなると3.1秒では勝負にならないんです。でも3.1秒は足が速くならないと縮まらない。甲斐キャノンを1.8秒と計算して、後はピッチャーのクイックタイムが1.3秒以上かかるケース、ワンバウンドになる確率の高い配球などを読んで準備をし勝負します。つまり甲斐ではなくピッチャーとの勝負なんです。みすみすアウトを献上するわけにはいきません。走らないケースもあるでしょうね」 その息を呑む駆け引きも見ものである。