イスラエル・ガザ戦争を後押しする「ホワイト・フェミニズム」…ハマスの非道さを理由に、パレスチナ市民への不当な攻撃が正当化されていいのか?
自壊する欧米 ガザ危機が問うダブルスタンダード #2
アメリカの、著名で地位や権力ある女性たちが「テロリストであるハマスを壊滅させるためならば、罪のないパレスチナ人が犠牲になっても構わない」という姿勢で戦争を支持している。 【写真】パレスチナの一般市民の犠牲は仕方ない? 『自壊する欧米 ガザ危機が問うダブルスタンダード』より一部を抜粋・再構成し、イスラエルの軍事行動を肯定してしまうホワイト・フェミニズムを解説する。
※2023年12月22日時点に収録された対談です
戦争を後押しするホワイト・フェミニズムとは
三牧聖子(以下、三牧) アメリカでは女性たち、とりわけ著名で、地位や権力のある女性たちが、ハマスの壊滅を掲げるイスラエルの軍事行動を支持してきました。 2023年12月初頭、イスラエルなどの主催でニューヨークの国連本部でジェンダーに基づく暴力に関するイベントが開催されました。 政治外交、芸術などの各界の著名人が集結し、フェイスブック(現メタ)の元最高執行責任者であり、女性も職場でリーダーをめざすべきと説いた『LEAN IN(リーン・イン)』(日本経済新聞出版、2013年)のヒットで、ビジネス界のフェミニストの顔になってきたシェリル・サンドバーグやニューヨーク選出の民主党議員カーステン・ギリブランドなどが参加していました。 ヒラリー・クリントン前国務長官も ビデオメッセージを寄せました。そして、イスラエルの国連大使、ギラード・エルダンも参加していました。サンドバーグは、イスラエルの大統領夫人ミハエル・ヘルツォグらと共に、世界中の女性の人権を守るはずのUN Womenが、イスラエル人女性と少女を標的にしたハマスの組織的なレイプについて明確に批判していないと強く糾弾してきた人物でもあります。 演説を行なったサンドバーグは涙声で、「レイプは決して戦争の道具として使われるべきではない」と訴え、「沈黙は加担です。テロを前に、私たちは黙っていることはできません」と国際社会がハマスへの断固たる対応において団結すべきだと主張しました。 ビデオメッセージを寄せたヒラリーも、国際社会に対し、「戦争兵器としてのレイプは、人道に対する犯罪である」と宣言、「正義の味方だと主張する人たちが、ハマスによる犠牲者に目をつぶり、心を閉ざしているのは言語道断だ」と述べて、ハマスに対する断固たる対応を国際社会に求めました。