発売前に色々あった「LUMIX S9」。結局売れている理由をフォトグラファー目線で考えてみた
■風景からポートレートまで楽しめる万能レンズ「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」
「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」(7万3260円)は、いわゆる標準域の焦点距離をカバーするズームレンズなのですが、標準ズームレンズでよくある24mmスタートのレンズとは違い、広角端が20mm。そのおかげで、このレンズ1本で風景からテーブルフォト・ポートレートまでこなせるオールマイティなレンズに仕上がっています。 正直なところ、キットの標準ズームレンズなので、写りはそこそこかな…と思っていましたが、良い意味で裏切られました。 望遠端でのF値は5.6とそこまで、絞り値は小さくありません(F値が小さければ小さいほど、ボケ感が大きくなります)。 それでも、撮影の仕方次第では大きくぼかすことも可能です。スマホのデジタル処理とは違う、自然なボケ感はやはりフルサイズならでは。 20mmの広角は、広く大胆な画が撮影できます。広角は周辺の画質が悪くなりがちですが、画面端まできっちりと写っています。 小さくリサイズされた写真でも分かるくらい、画面の隅々までシャープで、レンズの性能に驚きました。 思いっきり逆光で撮影してみましたが、気になるほどのコントラストの低下もなく、逆光耐性が良いです。前ボケがうるさくなりそうなシーンですが、柔らかなボケで爽やかさが出ていると思います。 正直なところ、このレンズを装着すると、コンパクトとはいいづらいサイズ感で、ある程度存在感があります。が、それでもレンズ自体は約350g。カメラと合わせて900gを切るので、フルサイズカメラ+標準ズームとしては軽量な部類。 そして何より、写りが抜群に良い! 多少のコンパクトさは犠牲にしても使いたいと思わせてくれる描写力でした。ただ、ルミックスS9のコンセプトにより合いそうな小型軽量なレンズラインナップをもっと増やして欲しいな…とも思いました。 「F1.8単焦点シリーズ」というのがあるのですが、より小型かつ軽量なパンケーキレンズ的なものでAFが使えるものなど、選択肢が増えればルミックスS9の良さがさらに引き立つのではないでしょうか(Panasonicさんに期待!)。