中国が米国をWTOに提訴、EV補助金巡りインフレ抑制法に異議
(ブルームバーグ): 中国商務省は26日、電気自動車(EV)の米補助金を巡り世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。バイデン大統領の署名を経て2022年に成立したインフレ抑制法(IRA)の内容に異議を唱えている。
商務省は声明で、IRAと関連規則は「差別的」であり、世界のEVサプライチェーンを「大きくゆがめた」と表明した。
税控除対象EV、中国からの部材調達に厳格制限-米政府指針
中国の提訴を受け、米通商代表部(USTR)のタイ代表は声明を発表し、中国が公正な競争を損ない、世界市場を支配し続けるため「不公正」な政策・慣行を引き続き利用していると指摘した。
内燃機関からの脱却が世界的に進むにつれ、EV分野は貿易や地政学を巡る緊張に巻き込まれることが増えている。欧州連合(EU)は不当な補助金を理由に中国から輸入されるEVに関税を上乗せする可能性が高く、バッテリーで世界をリードする中国企業は米国で厳しい検証の対象となっている。
米国は数カ月前、最大7500ドル(約114万円)のEV税控除の対象車を狭める制限を最終決定した。今年施行されたこの指針によると、「懸念される外国の事業体(FEOC)」から調達されたバッテリー部品や原材料を搭載したEVは控除対象から外れる。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザー、ウィリアム・ラインシュ氏は中国のWTO提訴について、「そのまま中国が勝訴するとは思わない」とし、「調達と補助金ルールは複雑で、米国が激しく反論すると考えられる」との見方を示した。
原題:China Files WTO Complaint Over US Electric-Vehicle Subsidies (2)(抜粋)
--取材協力:Tom Hancock、Eric Martin.
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James Mayger