【ボートレースコラム】調整の迷いから解放された木村仁紀の今後に注目
ボートレース多摩川の一般戦(12月10~14日)に出走していた木村仁紀(32=滋賀)は、初日選抜戦メンバーに選出されるほどの実力者。10月に児島一般戦で約1年1カ月ぶりの優勝を飾り、25年前期適用勝率(審査期間=24年5~10月)も6.43で5期連続のA1級キープを決めている。景気のいいコメントを期待して話を聞きに行ったところ「近況のリズムはあまり良くない」という。そのトーンの低さに面食らった。 「最近は伸び重視のセッティングになっているエンジンを引き継ぐことが多くなった。出足、回り足を中心仕上げたいタイプだけど、自分好みのセッティングにしていくか、そのまま伸び型の状態をキープして乗るか、調整を迷ってしまっていた」と木村。言われてみれば、前回使用者が調整した流れを大事にする選手が多くなった印象。よかれと思って仕上げたエンジンを崩すことに抵抗があるという心理は理解できる。 ファンとしては、自分好みではないセッティングに寄り添って乗りこなすよりも、迷うことなく納得できる調整作業に徹してもらう方がうれしいのではないだろうか。木村も「いろいろ考えていたけど、やっぱり自分らしい調整をしようと思っている」と吹っ切れた様子。その表情からは、頼もしい雰囲気が伝わってきた。 最後に「最近のエンジンは、以前よりも伸びがつきやすい仕様になっている気がする」と苦笑いしていた木村。でも、もう迷いはないだろう。選手には前回のセッティングを踏襲するにしても、自分のイメージに修正するにしても、納得の調整を施して思う存分、水面で個性を発揮してほしい。(大野 順平)