図書館の人が見せてくれた一冊の画集が少女を変えた……秋に読みたい本屋や図書館に行きたくなる本
懐かしい本屋の1日
最後の本は、子どもも大人も、町の本屋を愛するすべての人に薦めたい。吉田亮人さんの写真と矢萩多聞さんの文による『はたらく本屋』(創元社)は、仕事の現場をモノクロ写真で見せる「写真絵本 はたらく」シリーズの1冊。大阪の阪急水無瀬駅前にある長谷川書店の1日を撮った写真は、小さい本屋の懐かしいたたずまいを活写する。
発売日に雑誌を買いに来る常連客、漫画や算数ドリルを買う子どもたち、忙しい合間を縫ってレジの前で昼食をとる店の人……。閉店する町の本屋が増える中、まさにどっこい生きてるといった風情が頼もしい。
「カリスマ店長がいたり、特殊な選書をしたりする本屋でなく、長谷川書店はもう少し普遍的な本屋さん。僕らが本屋はこうであるといいなと思うことをギュッと詰め込んだような店です」。矢萩さんは朗らかに話す。同シリーズでは、刊行されたばかりの『はたらく図書館』で奈良県立図書情報館を取りあげ、カウンターを離れて、利用者と触れあいたいと提案するスタッフの姿などを紹介している。