「結婚はまぶしくて手が届かないもの」 法律上は〝他人のまま〟の同性カップル、希望のためにたたかう
未来の当事者に希望残したい 決意の提訴
こうぞうさんとゆうたさんは、いわゆる同性婚訴訟の原告となった。この裁判では、同性どうしでの結婚が認められないのは憲法で保障される『婚姻の自由』や『法の下の平等』に反するとして、全国の裁判所で同性カップルらが国とたたかっている。一方の国は、「同性どうしの結婚は想定されていなかった。憲法違反にはあたらない」と主張している。 2人は20年ほど前からゲイの当事者であることを周囲には明かしていた。LGBTQ+の当事者の声を学校などに届ける活動をしていたこうぞうさんは、「顔をさらして人前で話せる人ばかりではないのだから…」と、自分にできることは同性婚訴訟の原告になることだと決意したという。そして、この思いを尊重したゆうたさんも、一緒にたたかうことを決めた。2人は裁判をはじめるとき、その覚悟を記者会見で語っていた。
こうぞうさん 「自分の生きているうちに、日本でも同性婚という選択肢を作ってもらいたい。選択することで得られる生きる希望や未来への目標を、これからも生まれてくる同性愛者をはじめとするLGBTの子どもたちに残してあげたいと思っています。」 ゆうたさん 「結婚がすべてではありません。する、しないを選ぶのは個人で、自由です。わたしたちはお互いにすることを選びました。ただ、それだけのことです。職場との同僚との会話や親せきの集まりでパートナーや結婚の話になったとき、『しますよ、彼と』とためらいなく言える日が来ることを願っています」
同性婚訴訟をめぐっては、2019年2月以降全国5地裁で裁判が行われ、判断は分かれていた。2人が原告となっている福岡地裁では、同性カップルの結婚を認めないことは「憲法に違反する状態にある」と判断。国会に対し「この状態の解消に着手すべき」としながらも、憲法違反とまでは踏み込まなかった。いまもなお続く控訴審で札幌高裁と東京高裁では、同性婚を認めないのは“憲法違反”であるという明確な判断を下している。福岡高裁での判決は2024年12月13日に言い渡される。