6回TKOでWBCヘビー級王座統一のフューリーが「ボクサー引退」表明後にUFCヘビー級王者ガヌーとの異色マッチを電撃発表
WBC世界ヘビー級王座の統一戦が23日(日本時間24日)に英国の人気サッカークラブ、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地ウェンブリー・スタジアムで9万4000人ものファンを集めて行われ、正規王者のタイソン・フューリー(33、英国)が6回2分59秒に右アッパーの一撃で同暫定王者のディリアン・ホワイト(34、ジャマイカ/英国)にTKO勝利した。フューリーは、この世界戦を最後に引退することを表明していたが、試合後のリングに総合格闘技UFCのヘビー級王者フランシス・ガヌー(35、カメルーン)が登場。2人はボクシングルールによる異色マッチを戦うことを電撃発表した。
右アッパーの一撃で暫定王者を沈める
狙っていた。6ラウンド終了間際。フューリーが初めて繰り出した右のアッパーカットがホワイトのアゴを砕く。両手でポンと突き放すとホワイトは、そのまま崩れてキャンバスで大の字になった。一度は立ち上がったが、レフェリーがダメージを確認しようとすると、そのままロープに体を預けてよろけ、TKOが宣告された。正規王者の素早いワンツーに翻弄され続けたホワイトにすれば、突如、打たれたアッパーが死角になったのだろう。 リング上でマイクを持ったフューリーは絶叫した。 「9万4000人ものファンが来てくれるなんて信じられない。感謝します」 そして対戦相手のホワイトを「戦士だ。素晴らしいファイトだ」と称えた上で「ヘビーの最高の選手はオレだったってことだ」と豪語した。 かつてフューリーのスパー相手を務めたこともあり、その手の内を知り尽くしているホワイトは奇策に打って出た。本来はオーソドックススタイルだが、1ラウンドのゴングが鳴ると、サウスポースタイルにスイッチしてプレッシャーをかけたのだ。フューリーも戸惑ったのか、終始様子を伺うだけに終わった。 2ラウンドにホワイトはオーソドックスに戻して思い切り右を振りまわすが、何ぶん距離が遠い。ジャブの連打から、なんとか内側に飛び込もうと試みるが、身長で13センチ、リーチで18センチ、体重で5キロも違う体格差を埋めきれない。 フューリーはしたたかだ。離れた位置からジャブ、ワンツーを放ちながらも距離が詰まるとクリンチで抱きつき反撃のチャンスを作らせない。4ラウンドには、両者がロープ際でもつれ、フューリーの反則行為にホワイトが激高する場面も。突破口が開けずストレスが募ったのだろう。 対するフューリーの動きは5ラウンドに入って軽快になってくる。右のボディを交えてホワイトのマークを散らしながら次々とワンツーを打ち込んでいく。このホワイトを終始悩ませたワンツーがフィニッシュブローの右アッパーへの布石となったのである。 フューリーは「プロになってこれだけいいパンチはなかったかもしれない」と勝負を決めた右アッパーを自画自賛した。