【独自解説】ロシア軍機が日本の領空を侵犯 航空自衛隊が初めて「フレア」による警告実施 領空侵犯機にできるのは「退去」と「着陸」 今後自衛隊法第84条はどうなる?武器使用の明記で変わる各国の対応
また、相手の飛行機から見えるところでフレアを発射すると、「出ていきなさい」あるいは「進路を変えなさい」という大変強い警告の意味になります。今回のフレア発射は、日本が防空任務を本格化して初めて一段レベルを上げたということです。今までは、何度も無線で警告をして、場合によってはロシア語や中国語ができるパイロットはその言葉を使ったりもすることもありますが、今回は3回警告をしてもきかなかったのでフレアを発射したということです。
やはり、ウクライナの戦争が始まって以来中国とロシアの露骨な日本に対する圧力があります。この2国は国際航路もある日本海で合同軍事演習を行ったりします。今回も直前まで中国とロシアが合同演習を行っていました。言い方は悪いのですが、“やりたい放題”なわけです。日本は平和に対処する国だというイメージを向こうも持っているからか、ものすごくエスカレートしてきているということが一つあります。 それは領空侵犯です。この57年の間に40数回だったのが、今回は半日で3回侵入してきています。こういった背景もあり今回は、「警告だけで出ていかないのだったら、一段ギアを上げるぞ」という対応をしたということです。
■今、領空侵犯機にできるのは「退去」と「着陸」 対応に当たる「兵器管制官」とは?
さて、「撃墜はできるのか?」ということですが、ここで領空侵犯に対する対処を簡単に説明します。まず我が国、日本の場合はパイロットの判断だけでは武器の使用はできません。これは国会でも厳格に答弁されています。 領空侵犯機に対処する場合、聞きなれない「兵器管制官」という言葉の人物が出てきます。この人物は、飛行機に乗っていません。現場のパイロットは目の前で領空侵犯をしている相手方の状況を報告します。判断はこの「兵器管制官」がします。この人物が「この手段を使いなさい」「こういう警告をやりなさい」という指示をします。
自衛隊の戦闘機パイロットは常に待機をしていて、緊急の場合5分以内に離陸すると言われていますが、実際何分で離陸するかは国家機密です。相手の航空機が領空に侵入し、「領空侵犯機」と判断した場合、パイロットは「兵器管制官」の判断を仰いで対処します。「兵器管制官」は空にいません。 日本は、列島を囲むレーダーサイトが張り巡らされていて、そこから「入ってくる飛行機がいます。まっすぐ来ます。国籍は○○です」と言うような情報が入ります。そうすると、待機しているパイロットたちは上空に上がります。防衛省は公式に発表していませんが、今回は、まず北海道の真ん中の千歳基地からF-15が2機上がり、青森の三沢基地からF-35という日本では一番新しい戦闘機が向かったと見られています。
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