意外と知られていない接着剤の使い方、有効利用してますか!?
バイクの外装部品修理には接着&充填が便利
アクリル系の粉末に専用の溶剤液を染み込ませることで、アクリル粉末をバインダーにABS系部品の割れ補修や接着に大変便利な補修接着充填剤がプラリペア。ポリ系素材では接着力が今ひとつなので、柔軟性が高いオフロードモデルなどのフェンダー修理には不向き。ロードモデル用サイドカバーを固定する突起折れの修理や複製再生に役立つ商品。
UV=紫外線で硬化するハイテクノロジー
柔らかく透明な液体プラスチックに紫外線ランプを照射することで、約4秒という驚きのスピードで硬化する新世代接着剤が紫外線硬化接着剤。医師が考案した新世代補修材として市販され、ほぼ全てのものを接着、固定、塞ぐことが可能と明記されている。使ってみないとわからないが、果たしてその性能や如何に?といったところだろう。
FRP成型で使う洗浄剤のアセトンが……!?
FRP部品を製作する際には、ベタつくポリウレタン樹脂の洗浄に利用することでも知られているのがアセトン。極めて強い脱脂力を持つ溶剤だ。利用機会が多い樹脂造形工房では、一斗缶で塗料屋さんから購入するそう。脱脂力の強さではシンナー以上。取り扱い時は、風通しを良くしないと作業者は気分が悪くなってしまう。
「ABS ← PP」素材明記がある現代部品
80年代以降のプラスチック樹脂製部品には「リサイクル」に対する取り決めが明確化されている。そのため素材名が部品の一部に明記されている例が多い。一版的な外装カウル類にはABS製品が多く、柔軟性が求められるパーツにはPEもしくはPPが採用されているが、カウル類の裏側にはその明記がある。どちらかへの「矢印」でマテリアルを明記する例は珍しい表記だ。 【POINT】 ポイント1・適材適所で利用することが重要な各種接着剤 ポイント2・瞬間的に接着可能な瞬間接着剤も応用次第 ポイント3・樹脂素材を溶かす溶剤は接着剤として利用可能 ポイント4・修理部品の素材を明確にしてから作業開始 強度優先の補修を考えた場合、接着よりも「溶着」の方が確実だろう。素材がPP(ポリプロピレン樹脂)やPE(ポリエチレン樹脂)の場合は、そもそも接着には適していないので、熱のチカラを利用する溶着の方が確実な作業を行うことができる。この溶着に関しても、作業方法には様々なノウハウがあるので、機会を得てレポートしよう。 接着剤を使いたい時に、あれっ!?なんてことが無いように、ここでは各種接着剤の保管方法に関して、モデメクリエイトマキシ主宰、板橋義典さんに伺ってみた。 「瞬間接着剤は必ずノズルを拭き取ってからキャップし、購入時のアルミパックに入れるか密閉容器に入れて冷暗所に保管。容器の中に乾燥剤を入れて保管するのも良いです。キャップに刷毛が付いているタイプは、狙った所に塗布しやすく便利な反面、使用後はアセトンで刷毛をしっかり洗浄しましょう」。2液の接着剤は「ノズル掃除後にA/B液のキャップを間違えないように閉め冷暗所に保管。二液型は気温が高いと硬化時間が短縮するので、その特性も知っておきましょう。また、充てん接着に向いているのも2液タイプで、完全硬化までに時間が掛かるが、確実に硬化するのもこのタイプです」。 一液接着剤は「チューブ内の空気を抜きながらキャップを閉めて保管するのが基本。硬化後には弾力があり防水性が高い商品は、密閉箇所や厚盛では硬化しにくいこともあるので要注意ですね」。紫外線硬化接着剤は「日光を含めて光を避けて保管すること。着色する場合は3%以下の添加に抑えるのが良く、アクリルに利用し赤やオレンジ(アンバー)などの素材では、紫外線透過率が低いため硬化しにくいこともあります。硬化後の切削性も悪くないので、キズ直しのパテ代わりにも使えるようです」。とは、樹脂部品の補修や成型のスペシャリストであるマキシ板橋さんの印象だ。 取材協力/モデルクリエイトマキシ 板橋儀典 Yoshinori ITABASHI(モトメカニック誌テクニカルアドバイザー) とにかくバイク大好き、レース大好き、NSR250R大好き!!新車で購入した88年型のMC18/湿式SPを所有し続けるが、もう何年も倉庫の奥にある。「何度もコケて直し続けてますから、ノーマルの面影はまったく無いNSRです」とはマキシ板橋さん弁。
たぐちかつみ