生成AIの法的リスクと対策|AIキャラクターに著作権はある? 違反したらどうなる? 弁護士に聞いた
生成AIの「生成・利用」段階におけるリスクのポイント
続いて、開発した生成AIを生成・利用する場合の法的リスクのポイントを説明する。ここでの観点は、「生成AIで生成した生成物の著作権」および「秘密情報の取り扱い」の2点に絞りたい。 次に、いくつかの例とその回答を示す。 ■ [例] 生成AIでAIタレントを生成し、自社の広告物に活用する。AIタレントに著作権は認められるのか? →創作意図と創作寄与があれば、著作権が認められる可能性がある 「今まさに議論中のテーマであり、著作権が認められるケースもあるかもしれない」と福岡氏。判断基準は「創作意図」と「創作寄与」があるか。たとえば、伊藤園がCM用に生成したAIタレントに著作権があるのかは、その制作過程が外部からは見えないため定かではない。しかし、類似性の高いAIタレントを別企業が使用すれば、著作権侵害にあたるリスクがゼロではないということだ。 ■ [例] 生成AIで生成したキャラクターが、既存のキャラクターにやや似ている。これを商用利用した場合、著作権侵害に当たるのか? →類似性と依拠性の2つを満たしていれば、著作権侵害となる 類似性とは「後発の作品が既存の著作物と同一、または類似していること」、依拠性とは「既存の著作物に接して、それを自己の作品の中に用いること」を指す(文化庁著作権課「AIと著作権」より)。 つまり、先に制作されたキャラクターと特徴が似ていて、そのキャラクターを知っていたのであれば、著作権侵害とみなされる可能性が高い。もし、生成AIの生成段階でプロンプトにそのキャラクター名(「ドラえもん風のロボットのキャラクター」など)を入力していた場合は、著作権侵害となる可能性がより高まる。 ■ [例] 社内で利用している生成AIに秘密情報を入力するのは、秘密情報の漏洩にあたるのか? →利用している生成AIのモデルと秘密保持契約の内容次第 利用している生成AIがプライベート仕様である場合、プロンプトに入力した内容が第三者に漏れないことから、自社の秘密情報をプロンプトに入力してもいいケースもある。ただし、他部署に漏れてはいけない情報や一部の人しか知り得ない情報であれば、話は変わってくる。秘密情報部分を削除したり、匿名化したりする必要があるだろう。 他社の情報においては、秘密保持契約の内容を確認する必要がある。どの範囲まで共有し、どんな目的で利用できるのかを事前に確認しておこう。