生成AIの法的リスクと対策|AIキャラクターに著作権はある? 違反したらどうなる? 弁護士に聞いた
違反すると「差し止め」や「損害賠償」を請求される
今回取り上げた著作権やプライバシーの侵害、秘密保持契約違反の場合は「差し止め請求」と「損害賠償請求」の2つが存在する。福岡氏いわく、悪質でない限り刑事罰が課される可能性は低いそうだ。 差し止め請求においては、違反とみなされると、いかなる場合でも差し止められる。たとえば、該当のキャラクターやイラストを使って製品を販売していた場合は、すべて破棄させられる、秘密情報や個人情報の利用をやめさせられる、といった具合だ。ちなみに、故意・過失がなくても、違反とみなされ差し止め請求をされる場合もある。 損害賠償請求においては、著作権侵害の場合は損害額が低いという。たとえば、新聞の切り抜き記事を会社のデータベースに入れて、社内で読めるようにした企業が、新聞社2社に損害賠償請求をされた事例があったが、損害額は700万円と130万円ほどだった。日本では懲罰的賠償などが認められていないため、少額となる傾向があるという。
一方、秘密保持契約違反の場合は内容次第といえる。契約上で損害賠償額の上限や違約金があらかじめ定められている場合は、それに従うこととなる。プライバシーの侵害もケースバイケースだが、被害者が個人の場合は一人当たり数千円になることが多いようだ。
福岡氏は、著書『生成AIの法的リスクと対策』のなかで、「まだ議論が十分でない論点が多く、法令やガイドラインも変わり得るため、具体的な事実関係と適用ルールに応じた検討が重要だ」と述べている。ひとまず生成AIの法的リスクのポイントを押さえつつ、都度、最新の法令やガイドラインの確認が求められる。