選挙に行くだけでは見えないハイテク「投票用紙の一生」、誕生から最期まで
開票後は保管、10万票分なら段ボール8箱に
投開票日の当日は、投票所の管理や開票作業に多くの人員が必要です。たとえば東京都三鷹市の場合、選管職員は6人ですが、投開票当日は他部署から加勢する職員を含めて273人で対応する方針です。市の職員数は986人(4月1日現在)ですので、4分の1強の職員が投開票作業を担当する計算になります。 投票用紙が本格的に“稼働”するのは、言うまでもなく投開票日の当日です。東京都日野市の場合、市内の30投票所で午前7時に投票を開始。有権者は、交付された投票用紙を受け取ると、記載台で候補者や政党名などを記入のうえ、投票箱に投入します。投票は午後8時に締め切られます。 開票作業の流れについて、三鷹市選管に、7月2日に投開票された東京都議会議員選挙の時の事例を教えてもらいました。 投票終了後、投票箱は公用車などで開票所に集められます。まず「整理係」が投票箱から出された投票用紙の折れ曲りなどを直して整理し、「分類機係」が読み取り分類機で各候補者ごとに分類します。 「点検係」が分類機による分類まちがいや、裏面への余分な記載(他事記載(たじきさい)と言います)の有無を手作業で確認します。 問題がなければ、「第1・第2計算係」が計数機で候補ごとの投票用紙数をそれぞれ数え、「結束担当」が投票用紙を輪ゴムで500枚ごとに束ねるとともに候補者の名前を記した札をつけ、「検査係」が札と投票用紙の候補者名が一致しているかどうか確認します。 「集計係・記録係」は票を集計して中間発表用および最終的な集計資料を出力。集計内容は「公表係」が場内に、「速報係」が都の選管に、それぞれ伝えます。
乱筆などで分類機で読み取れなかった票は、「読取不能票整理係」が手作業で確認。機械には判読が無理でも人間なら判読できるケースが相当あるそうです。 「点検係」が見つけた他事記載の票は無効票となる可能性があるので、「第1疑問係」で確認の上、無効と判断されれば「無効投票係」でカウント。判断がつかない場合は「最終疑問係」で開票立会人による判定会の開催を検討します。 役割を終えた投票用紙は、保管用のダンボールに詰められたのち、開票管理者や開票立会人が割印をして、市役所内の保管場所に移されます。同市選管によると、だいたい60×60×90センチメートル程度のダンボールを使った場合、10万票分なら8箱に収まるそうです。開票所ですべての作業が終了するのは深夜になります。