早期離職がもたらす「6つの弊害」と若手社員の退職を防ぐ「We感覚」とは?
(6) 既存社員のモチベーション的影響 退職者が出ると、業務のしわ寄せを受けた既存社員のモチベーションが下がることが少なくない。また、退職者が出たことがきっかけとなり、以前から抱えていた不安や不満が噴出する人もいる。「彼・彼女も将来が不安になったんだな」「自分も転職したほうがよさそうだ」などと考える人が増えると、ドミノ倒しのように離職が連鎖する可能性がある。 ■ 「We感覚」を持つ若手社員は辞めない!? 昨今、多くの企業で「オンボーディング」という言葉が飛び交っており、オンボーディングについて議論が交わされることが増えている。 オンボーディングとは、新入社員が会社の業務や風土に慣れるまでサポートする活動の総称である。一般的には、新入社員が会社のルールや業務の手順に慣れるようサポートすることで、早期の「戦力化」を図ることを目的としている。 ■ オンボーディングは「一体化」をゴールにすべき Z世代の特性・傾向を考えても、こうした取り組みは重要である。しかし、若手社員の離職防止を目指すのであれば、オンボーディングのゴールを「戦力化」ではなく「一体化」に置くべきである。 前述のとおり、入社して日が浅い新卒社員は、「この会社にいて、自分のキャリアは大丈夫だろうか?」などと個人人格の領域で疑念を抱きながら働いている人もいる。いわば会社を「品定め」している状態だと言えるが、この状態でいる限り、ちょっとしたきっかけで離職に至る可能性がある。 だが、一定期間を過ぎると品定めのフェーズは終わり、「この会社で働いている自分があたり前」と感じられるようになる。これは、会社が「自分の人生の一部」として位置付けられた瞬間だと言える。この感覚が得られた時に見られる変化が、自社のことを話す時に「うちの会社は」という言い方から「私たちは」という言い方に変わることだ。これは、個人人格と組織人格の境目が曖昧になり、自分と会社が「一体化」しつつある証拠だと言える。