「自分のことを叱ってほしかっただけです」50歳の息子はライターで両親がいる自宅に火を放った
「俺に水をかけてくれ。お父さんが中にいる」 火の中へ助けに戻ろうとしたが、近所の人に引き留められたという。 亡くなった父への気持ちを問われた男は、涙ながらに後悔を口にした。 「申し訳ない、苦しい思いをさせて申し訳ない」 裁判の審理を終える「結審」の日。検察側は「考えや生活態度が幼稚で自己中心的。動機は極めて短絡的かつ身勝手で、酌量の余地などまったくない」「人の死亡という重大で回復不能な被害が生じた」などとして懲役10年を求刑。 一方、弁護側は「自分を見てもらいたくて、気を引くために行ったものであり、両親や近隣住民を傷つけるつもりはなかった」「計画性・積極性はない、発作的・衝動的な行為で、強い犯意もない」などとして、執行猶予付きが相当であると主張した。 ■「お母さん、ごめんなさい」 最終意見陳述で証言台に立った男は、涙で声を詰まらせながら、15分にわたって思いを語った。 「被害を被った住人の皆さん、周辺にお住まいの方々、ご迷惑をおかけして申し訳ございません」 「本当に今回の事件は、私が両親に対する甘え、自分自身の身勝手さ、軽率な考え方と行動、人間として許されない行動を起こしたこと、それを背負いながら罪を償っていきたいと思います」 「お母さん、ごめんなさい」 2024年12月19日、判決の日。 裁判長は「犯行動機は自己中心的で身勝手というほかない。他方で、計画性がなく感情的に犯行に及んでおり、火を大きく燃え上がらせるつもりもなかったことはある程度考慮される」などと認定。男に懲役7年の判決を下した。
静岡放送