梅雨の大雨&真夏の猛暑がやってくる!?温暖化の影響で"アナザーワールド"な天気に...気象研究者・立花教授に聞いてみた【MBSお天気通信】
過去の常識は通用しない時代 梅雨入り前に“もしもの時”の備えを
気象庁気象研究所などの研究チームの報告では、線状降水帯を含む集中豪雨の発生頻度が過去45年間で約2.2倍となり、特に7月は約3.8倍と顕著に増加していることがわかっています。 線状降水帯はその発生メカニズムをはじめとして未解明の部分が多く、完全に予測することは難しいのが現状です。2022年と2023年には、東シナ海上で船舶による気象・海洋集中観測が行われ、立花教授の三重大学チームも参加しました。 船舶による集中観測によって、(1)気象衛星によって特定している海水温分布や黒潮の位置に大きな誤差が出る時があること、(2)黒潮の近くには海水温の南北差の大きいエリア「海水温の崖」が存在し、その付近では雨雲を発達させる上昇流が強化されて線状降水帯の発生につながる可能性があることなど、観測によってわかったことが多くありました。
気象庁は2024年、以前よりも性能の優れた新たなスーパーコンピューターを導入しており、線状降水帯が発生する可能性がある場合には、「地方」から「府県」単位で、よりきめ細かな予測情報が発表されるようになります。 “アナザーワールド”に突入しつつある現在では、「過去には災害による被害は発生しておらず、これまで大丈夫だった」という認識は通用しません。過去とは違う世界で生きていることを念頭に置き、梅雨入り前に“もしもの時”の備えを確認しましょう。 大雨災害や猛暑から命を守るために、より一層気象や防災に関する情報に注意しながら、大雨の季節、そして夏を乗り切りましょう。 (気象予報士・広瀬駿)