梅雨の大雨&真夏の猛暑がやってくる!?温暖化の影響で"アナザーワールド"な天気に...気象研究者・立花教授に聞いてみた【MBSお天気通信】
「エルニーニョ現象=冷夏」は昔の話…2023年は記録的な猛暑
2023年の冬をピークに、エルニーニョ現象が発達しました(エルニーニョ現象は、まもなく終息する可能性が高い)。エルニーニョ現象とは、南米・ペルー沖の海水温が平年より高くなる現象で、世界中で異常気象が多発する引き金となります。エルニーニョ現象が発生すると日本付近は暖冬となり、夏はぐずついた天気となって、「ヤマセ」が吹き冷夏となる。そのように認識している人が多いかもしれません。 しかし、立花先生は言います。 「エルニーニョ現象=冷夏というのは、いまや昔話です。2010年から目立った冷夏は発生しておらず、エルニーニョ現象の発生した2023年は記録的な猛暑となりました。教科書に書いてあるような過去の常識では説明できないような、新たな現象が発生するようになっています」
エルニーニョ現象では、ペルー沖で海水温が高まる一方、シーソーの反対側のように、フィリピン近海では平年より海水温が低くなっていました。しかし、現在では太平洋の広範囲で海水温が高くなっており、そのほかインド洋や大西洋など、海全体の海水温が高まっています。 海が“湯たんぽ”のように暖まっているので「ヤマセ」も暖まり、冷夏が起きにくくなっているのです。エルニーニョ現象の影響でどんな天気になろうが、今年は酷暑の夏になるかもしれません。 なお、今年の夏から秋にかけてはラニーニャ現象が発生する可能性が高く、その影響が現れ始めると余計に太平洋高気圧が強まり、2023年の記録を塗り替えるような暑い夏になる可能性も否定できません。
温暖化の影響で“アナザーワールド”へ突入!温暖化対策が急務
立花教授が危機感を強めているのは温暖化の進行の速さです。 「地球温暖化の影響は深刻になっています。2023年あたりから“アナザーワールド”の入り口に来ているかもしれません。研究者としての肌感覚で言うと、2010年くらいあたりが、ホップ・ステップ・ジャンプの“ホップ”の段階です。極端に暑い日や大雨災害が急増しました。そして、2023年が“ステップ”の段階で、これまで見たことがないような海水温の上昇が世界中で起こりました。気温の変化をマイルドにするように“熱”を吸収してくれる海が、まるで『もう我慢できなくなった』とメッセージを発しているかのようです。将来、“ジャンプ”が来たときは、もう後戻りできなくなる…。そうならないよう、とにかく地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を減らすべきです」 温暖化抑制の対策が急務であると、立花教授は語気を強めます。