梅雨の大雨&真夏の猛暑がやってくる!?温暖化の影響で"アナザーワールド"な天気に...気象研究者・立花教授に聞いてみた【MBSお天気通信】
そもそも日本は『異常気象』が生まれやすいエリア
また、立花教授は言います。 「暖かい海水を運ぶ黒潮が強く北上している影響により、現在の日本周辺の海水温は、平年に比べて世界でいちばん高まっている状態です。そもそも日本周辺は、世界的に見ても異常気象が多発しやすいエリアです」 日本の南にあるフィリピン近海は、赤道付近の熱帯海域で最も海水温の高いエリアです。一方、北極周辺で冬に蓄積される寒気の中心は、シベリア付近と、日本の北からさほど離れていない場所に位置します。 それゆえ日本は南北の気温のコントラストが大きく、年間を通して寒暖差が激しく四季が明瞭であるため、美しい季節の変化を楽しむことができます。しかし、熱帯と北極周辺、南北からの温暖化による異変がすぐに伝わり、異常気象が発生しやすいという側面もあるのです。 海水温が高くなり、熱帯域で雨雲がモクモクと発生する“対流活動”が活発になると、その北の亜熱帯を覆う高気圧が強まり、中緯度にあたる日本付近では夏場はカンカン照りとなって暑さが一層増します。強い日差しと猛暑が海を暖めて、海からの水蒸気が日本各地を襲う大雨の材料になりかねません。
冷たい風と暖かい風がぶつかると…梅雨前線が活発化し大雨に
立花教授は、北極からの影響も注視しています。 「大雨の材料となる、暖かい海から生まれた暖かく湿った空気の流れは、何もなければ日本付近を素通りするだけですが、反対側に空気の流れを止める存在があると雨雲は大規模に発達します。それが、オホーツク海高気圧の存在です。6月や7月になると、比較的冷たいオホーツク海上に高気圧が生まれ、オホーツク海高気圧がもたらす北東からの風『ヤマセ』が、南からの暖湿流とぶつかり合うことで、梅雨前線の活動が活発になり大雨が降ることがあります」 2018年の西日本豪雨も、台風をはじめとする熱帯由来の暖湿流が強化されたことに加え、オホーツク海高気圧が出現したことも原因の一つだと考えられています。 立花教授によると、北極周辺の温暖化の影響により、高緯度の上空を吹く偏西風が大きく蛇行する傾向にあるそうです。偏西風が北に膨らむように吹く領域で、オホーツク海高気圧の勢力が強まります。