「痛くなったら歯医者に行く」 のは昔の話…50代からでも遅くはない「真剣な歯磨き」のススメ
歯科医師に言われたシリアスな一言
歯科医院は「痛くなったら行くところ」であり、定期的に通うところではない――。 そういう認識で50年以上生きてきた。年に1~2回の頻度で歯は痛くなったが、その都度、歯科医院に行けばいいと思っていた。定期的に歯を診てもらうという概念すら持っていなかった。 【写真】快適な睡眠は「ふくらはぎ」が決める…!「夜のトイレ」はこう防ぐ 全国を飛び回る仕事をしているので、出張先の場所と時間にあわせて歯科医院を選んでいた。かかりつけの歯科医院はなく、診察後に定期検診をすすめられても通うことができず、「先の予定が分からないので」と、予約を入れることはしなかった。 そして2年前、久しぶりに歯に違和感を覚えて、東京出張のついでに歯科医院に立ち寄った。港区の神谷町駅近くにある片平歯科医院。知人から評判の良い歯科医院と聞いて、興味半分で診察してもらうことにした。 他の歯科医院よりも検診にかける時間は長かった。診察後、医院長の片平信弘先生と面談し、歯周病が進行していることと、このまま中途半端な治療を続けていると大変なことになるなど、歯の現状について説明してくれた。 「今度こそ、本気で歯周病を治しませんか」 歯の治療を何度か受けてきたが、初めて言われた言葉だった。歯科医師が真顔で「本気」という言葉を使うということは、私の口の中は相当、深刻な状況なのだろう。 こうして、片道2時間以上かけて東京の歯科医院に通う生活が始まった。
歯を真面目にメンテナンスしてこなかったツケ
歯周病は想定以上に進行していた。一回の治療では歯石が取り切れず、4回ぐらいに分けなければ、すべてを除去することができないと歯科衛生士に言われた。 思い返せば、同じようなことを何度か言われたことがある。しかし、地元の歯科医院だったとしても、2回ぐらい歯石除去をしたあとは、「もう大丈夫だろう」と勝手に判断して、歯科医院には通わなくなっていた。 中途半端な治療しかしてこなかったので、歯周病は年々悪化、歯茎と歯の間の溝の歯周ポケットは深さを増し、そこから細菌が入り込み、歯肉が炎症を起こしている状況になっていた。 「一度ダメになった歯茎は、二度と復活することがないんです」 歯科衛生士にそう言われて、大きな衝撃を受けた。なぜ、今までそんな重要なことを教えてくれなかったのか。もしかしたら教えてくれていたかもしれないが、歯の治療に興味がなかったので、右耳から左耳に抜けていたのだろう。 『歯科医院=歯を治してくれるところ』という認識だったので、歯周病も風邪や骨折と同じように、治療すれば完治するものだと思っていた。歯石を除去すれば歯茎の痛みがなくなっていたので、私自身は「治った」ものだと理解していた。 しかし、消滅した歯肉が二度と再生しないのであれば、自分の歯茎はどんどんやせ細り、歯が抜けやすくなってしまう。場合によっては、インプラントや入れ歯の治療が必要になり、治療を怠れば、老後は硬いものが食べられない生活を送ることになる。 「インプラント」「入れ歯」「硬いものが食べられない」……すべてが高齢者だけの歯の問題だと思っていた。自分とは無縁の話であり、他人に起きている不幸な話とさえ思っていた。 しかし、自分も気づけば53歳。シニアに片足を突っ込んでいる年齢である。歯を真面目にメンテナンスしてこなかったツケが、ここにきて回ってきたと思えば、歯の劣化が進んでいることにも納得してしまう。