『銭湯図解』の塩谷歩波が語る「こわい」との適切な距離感。公開インタビューをレポート
塩谷が考える「自分の絵がもつ役割」
─最後に、今後チャレンジしたいことを教えてください。 塩谷:本づくりは楽しいのでもちろんやりたいですし、絵自体にもすごく愛着があるので、より面倒くさくて大きい建物を描きたいです。面倒くさい建物を嫌だなと思いながら描いているときが一番楽しいですね。結局は描いてる時間が一番好きなので、それが長ければ長いほどいいですね。 あと、『銭湯図解』を始めたのは純粋に銭湯の良さを広めたいという気持ちからでしたが、最近はこれからなくなってしまう建物を描き残してほしいっていうご依頼もいただくようになりました。 写真や文章でも建物を記録することはできますが、その場所の記憶やそこでの人の振る舞いを記録できるのは自分の絵の強みだと感じています。東京には銭湯や純喫茶以外にも絵に残したい建物がいろいろあるので、それらを残す活動もやっていきたいです。
インタビュー・編集 by 吉田薫 / テキスト・編集 by 廣田一馬 / 撮影 by 前田立