藤 竜也「やりたい仕事を目の前にすると、腹を空かせた子供みたいにしゃぶりつくんです(笑)」
1962年のスクリーンデビュー以来60年以上のキャリアを誇るレジェンド俳優、藤竜也さん。大島渚監督の『愛のコリーダ』をはじめ数々の記憶に残る役柄を演じ、2000年代に入ってからも、続々と話題作に出演。変わらず激シブでカッコいい姿を見せてくれています。はたしてその魅力の秘密とは? PEOPLE NOW
御年82歳にしてバリバリの現役である藤竜也さん。7月12日公開の映画『大いなる不在』では認知症を患う元大学教授の陽二を演じています。60年以上の長いキャリアで巡り会った様々な役柄と、藤さんはどう向き合い、どのような想いで演じてきたのでしょう── 。本作の話とともに、第一線で活躍する秘訣、理想のカッコいい大人像についても伺いました。
俳優という職業に飽きていないから続けられる
── 80代にしてなお第一線で走り続けることができる秘訣はなんでしょう? 藤竜也さん(以下、藤) 自分自身では分からないけれど、俳優という職業に飽きていないということが大事なのかもしれないですね。飽きていないから一生懸命取り組める。飽きていてもお金が目的だから仕方なくやる演技と、演じることに飽きることなく、時にはスリルを感じながらワクワクした気持ちで臨む演技とでは全然違いますから。 ── 藤さんにとって役を演じることはいつでも新鮮なのですね。 藤 私は忙し過ぎると駄目なのかもしれない。一つの作品が終わり、ぼちぼち飢えてきた頃に面白そうな仕事がくると腹を空かせた子供みたいに、その仕事にしゃぶりついて喰らいつくすんです。でも、しょっちゅうご馳走を食べていたら満腹になっちゃって“もういいかな”ってなるかもしれませんね。 ── 藤さんにとって演じることはご馳走なんですね! ではやはり、藤さんにとって一番大事にしているものはお仕事なのでしょうか? 藤 家族ですね。若く結婚しているからそれなりのことはありましたし、威張れるようないい夫かって聞かれたらそうではなかったと思う。だけど、夫婦っていうのは長く一緒にいると手のシワまでもが愛しくなるものなんです。ああ、俺のためにこんなシワをつくったんだなぁって。 ── 素敵です、世の女性が悶えるような言葉ですね。以前、奥様とは毎日触れ合うようにしているとうかがったことがあるのですが、それは今もでしょうか? 藤 コロナが始まる前は、手をつないだり握手をしたりしましたが、今はグータッチです! それをやらないと、翌朝どっちかが起きてこないかも分かんないからね(笑)。