東海道線の電車と衝突の電柱、架線の引っ張る力などでひび・雨水が入り込んで腐食
神奈川県鎌倉市で昨年8月、JR東海道線の電車が傾いた電柱と衝突した事故で、運輸安全委員会は28日午前、事故の調査報告書を公表した。電柱のひび割れから雨水が入り込んで内部が腐食し、負荷に耐えられなくなった可能性が高いと指摘した。 【写真】東海道線と衝突したとみられる電柱
事故は昨年8月5日夜に起きた。同線小田原発横浜行き電車(15両編成)が大船駅付近を走行中に傾いた電柱に衝突し、乗客4人と運転士1人が軽傷を負った。
報告書によると、コンクリート製の電柱は、架線の引っ張る力などで根元部分にひび割れが発生。そこに雨水が入り込んで強度を高める鋼棒が腐食して折れ、負荷に耐えられずに傾いた可能性が高いと分析した。電柱の断面を調べた際、鋼棒の一部に大量のさびが付いているのを確認したという。
報告書では、検査方法が目視のみだったため、小さなひび割れを見逃した可能性が考えられると言及した。
JR東日本は事故後、設置条件が似たすべての電柱の補強や建て替えを実施。電柱の負荷を減らす設計指針も新たに導入した。