YouTube、生成AIに関する新機能を多数実装。自動吹き替えやテレビ視聴向けのツールも
YouTubeは、クリエイターを支持する新しい機能を、順次展開していくことを発表した。 まずはYouTube ショートを作成する際の新機能として、Google DeepMindによる「Veo」を導入。Veoによって、昨年実装された「Dream Screen」機能の能力がさらに向上し、従来は視覚化が難しかったコンセプトを動画の背景としてAI作成できるようになるという。 またVeoを利用して、6秒の動画クリップをショート動画用に生成できるように。これらの動画にはSynthIDを用いた透かしが入るため、視聴者はラベル表示によってGoogleのAIツールで生成されたことを判断できる。 なお、Veoはまず一部のテスターに提供されるとアナウンス。日本居住のクリエイターへの提供は未定とした。同じくDream Screenも日本での導入は未定。 次に、YouTube Studioの「インスピレーション」タブを改良。生成AIを活用したブレインストーミングツールの提供を開始する。クリエイターは、キュレートされた提案をもとにした動画のアイデア/タイトル/サムネイル/アウトラインを使って、プロジェクトを完成させることができるとした。 また2025年には、評価の高いコメント/その他の動画/各自のカタログなど、インスピレーションを得たあらゆる場所から「インスピレーション」タブに直接移動できるショートカットを導入する予定だとアナウンスしている。 「自動吹き替え」では、日本語/スペイン語/ポルトガル語/フランス語/イタリア語など、利用可能になる言語の数が増加。これまで少数のクリエイターを対象に吹き替えツールをテストしてきたが、今後数ヶ月で、このツールをさらに数十万人のクリエイターに提供するという。 現在は少数のクリエイターと協力して、声のトーンやイントネーション、周囲の雰囲気を吹き替え音声に反映させ、より自然に聞こえるようにするための新機能を試験運用中とのこと。 YouTube Studioアプリの「コメント」タブは、ファンとの交流を深める場となる「コミュニティ ハブ」に変更となる。AIによって、クリエイターのスタイルに合わせた返信文の候補を生成する機能を追加。クリエイターは、候補をもとに返信文をカスタマイズすることができる。さらに「コミュニティ スポットライト」や視聴者関連の指標などの、時短ツールも近日中にリリースする予定という。 日本への導入は未定だが、クリエイターのチャンネルから直接アクセスできる専用スペース「Communities」や、新人クリエイターを応援する「ハイプ」機能も発表。 Communitiesはファン同士のコミュニティスペース。クリエイターの動画について話したり、ファンアートを共有したり、共通の趣味を持つ人々との交流を図ることができる。現在いくつかのチャンネルで提供されており、2024年中により多くのチャンネルに追加されていく予定とのこと。 ハイプは、視聴者が任意のクリエイターを応援するための機能。動画はハイプされることによってハイプポイントを獲得し、多くのポイントを獲得すれば特別なスコアボードに掲載される。新しい視聴者に発見および認知される可能性が高まるという。すでにブラジル/トルコ/台湾でテスト中であり、テスト範囲は今後数ヶ月以内に拡大される予定とアナウンスした。 ほか、クリエイターのコンテンツをテレビ画面で視聴しやすくするため、テレビ画面でシーズンやエピソードを整理できるように機能を追加する予定という。同社は、リビングルームが新たに動画を視聴する場になったことで、大画面視聴を目的としたコンテンツを制作するクリエイターが前年比で30%増加していると指摘。チャンネルからコンテンツを直接再生できるようにし、チャンネル登録や説明欄のリンクにアクセスしやすくするなど、テレビ画面での視聴に関する改善はほかにも進めていくとアピールした。 今回の発表に関して、同社は次のようにコメントしている。 「YouTubeでは、成功の形は1つではありません。精力的に活動するクリエイターやアーティストの数だけ成功の形があります。YouTubeは、自己表現、コミュニティの発見、経済的自由の獲得など、クリエイターそれぞれの成功への道を切り開くための長期的な機会を提供したいと考えています。 そして今、私たちはその成功を実現するためにAIの変革的な力をもたらし、同時にYouTubeとしての責任の実績を積み上げています。私たちは、AIが、クリエイターの新たな表現方法を解き放ち、クリエイターと、クリエイターのクリエイティブなビジョンのためにその力を発揮すべきだと思っています。米国時間9月18日、Made on YouTubeでは、人々を結びつけ、創造性を刺激し、ビジネスを推進し、新しいクリエイターを支持する新しい手段を発表しました」
PHILE WEB編集部