パンと牛乳、ヨーグルト。朝食後に腹痛と下痢が起こる人は「過敏性腸症候群(IBS)」の可能性大
腹痛や下痢、便秘が頻繁に起こるので、電車に乗れば各駅で下車、試験や会議は何度も中座。食事後にすぐトイレに行きたくなるので、外食もできない……。そんな人は、「過敏性腸症候群(IBS)」かもしれません。よくわからない怖い病気というイメージを持つ人もいるでしょう。でも、原因をつきとめ、適切に対処すれば治せる病気です。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 そこで、この連載では、話題の新刊『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』(水上健 著)のエッセンスを全8回にわたりご紹介。過敏性腸症候群(IBS)の特徴や治療法、日常生活で注意すべきことなどを詳しく解説します。 自身やまわりの人の症状を和らげながら、健康な体を取り戻していくためのヒントを見つけてください。前回に引き続き、IBSの原因に大きくかかわっている体質についてご説明します。 『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』 第4回 〈ストレスや運動不足が引き金に。過敏性腸症候群(IBS)の原因をタイプ別に探る〉より続く
多すぎる胆汁酸によって食後に下痢をする「胆汁性下痢型」
過敏性腸症候群(以下、IBSと表記)の原因となる体質は4タイプに分類されており、そのうちの2タイプについては前回お伝えしました。今回はその続きです。まず、「胆汁性下痢型」についてご説明しましょう。 胆汁性下痢型は、多すぎる胆汁酸が原因で食後に下痢を起こします。この体質の人は人口の約1%、慢性下痢症の約30%いるとされ、久里浜医療センターの下痢型IBSの約30%を占めます。 胆汁は消化液のひとつで、食事をすると胆のうから十二指腸に分泌され、おもに脂肪分の消化と吸収にはたらきます。また、胆汁酸は胆汁の一成分で、大腸で水分を分泌させ、蠕動を起こす「体内下剤」です。 小腸で大部分が吸収されて肝臓にもどり、再び胆のうにためられて一部だけ大腸に流れていきますが、それは分泌された5%にすぎません。ところが、胆汁酸産生量が多い人や、小腸で吸収されずに大腸まで届く量が多い体質の人がいます。 食後に分泌される胆汁が影響するため、食事内容にかかわらず食事をとると必ず下痢をします。食事を抜くと下痢をしません。胆汁性下痢型は、食事と症状が直結していることが特徴です。 胆汁は寝ている間にもためられているので、朝にもっとも多くたまっていて、分泌量も多くなります。そのため朝食をとって出かけた電車の中で急に腹痛と下痢におそわれたりします。悪化すると昼食や夕食のあとにも症状が現れます。なお、胆汁性下痢型は小児にもあります。 【メカニズム】 食事で胆のうから胆汁酸が分泌される ↓ その胆汁酸が大腸に多く届く体質 ↓ 下痢が起こる ↓ 通常の下痢止めが効かない ↓ 下痢のために外食もできなくなる