西村太一騎手がビーアストニッシドと築く絆 チーム一丸の試行錯誤が結実へ/新人記者のトレセン日記
【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 転厩初戦のディセンバーSで堀内調教師が〝絶対ハナ宣言〟をしたビーアストニッシド(牡6)。結果的には2番手からのレースで6着ではありましたが、「みんなで頑張ってやってきたことが形になって、希望のある一日になりました」と西村太騎手は笑顔を見せます。以前、取材したときには〝難しい馬〟として紹介しましたが、厩舎スタッフやジョッキーが試行錯誤して向き合った結果が形となった一戦でした。 「使ってから続戦ですが順調にきていますよ。メンタル面も維持できて、落ち着いてきています。息遣いが良くなり、体が絞れて状態も上がってきています」。今回は月曜に行われるニューイヤーS(中山芝外1600メートル)に出走しますが、状態面は維持するだけでなく上がり目を見せているそう。メンタル面についても「怖さは出てきましたけど、ネガティブな意味ではありません。馬が仕上がってピリッとして、油断できないという感じです」との解釈です。今の怖さはレースに向かう準備ができているからで、「いいことです」とにっこり。 実はレース後にはこんな秘話も教えてくれました。「発走委員の人もビーアストニッシドのことを知っていてくれたのですが、『返し馬がこんなに落ち着いているのは初めて見たよ!』と声をかけてもらいました」とここでも笑顔があふれます。自分自身や厩舎スタッフなど近くにいる人だけではなく、以前から知っている人にも褒められるほどの成長ぶりだったのです。 それだけではありません。気性の良化を感じられるのは調教やレースでの様子だけではなく〝顔〟にも出てきているそう。「入厩したときの顔を見てほしいくらい。白目を向いて血走っている感じだった」と太一騎手。目の前にいるビーアストニッシドを見ても、そんな様子はひとつもありません。優しい目をしています。転厩してきて数か月。それだけ堀内厩舎に心を開いてきているということなのかもしれないですね。 やはり気になるのは引き続き〝ハナ宣言〟は出ているのか。「相手次第ですが、前回みたいに前向きな競馬をしたいです」。前走はハナを切れなかったものの、番手で前向きな競馬ができました。「引き続き元気よく活発に走ってもらうことを考えて」と鞍上。この馬の良さを引き出すための競馬に徹するそうです。 付きっ切りでの調教を含めて、〝この馬と頑張りたい〟という強い気持ちがビーアストニッシドに伝わっているのでは…と取材をしていて感じます。転厩2戦目でどんな競馬を見せてくれるのでしょうか。ビーアストニッシドから目が離せません。
栗栖 歩乃花