今や、奨学金利用者は半数以上の現実。「奨学金の返済がなければ貯金に回せるのに…」「妊娠出産で収入がなくなり心配…」お金のプロがアドバイス
奨学金の利用については親だけで考えずに子どもと一緒に
奨学金の影響については、月に返す額にもよるようですね。後から悔やむことのないように、ファイナンシャルプランナーの近藤賢一さんに、奨学金の基本や返済スタンス、我が子に奨学金制度を使うかなどについてお聞きしました。
日本の奨学金制度の特徴
「まず日本の奨学金制度は海外の奨学金とは違い、簡単に言えば金利の安い借金と考えなければなりません。 海外の奨学金は、返済不要のものがほとんど。優秀な学生への投資という考え方が強いんです。 奨学金の制度に課題があるとしたら、借りる時にその仕組みや返済のゴールまでを考えて借りるケースが少ないことだと思います。実際に返済がスタートしてから、初めてその重たさに気がつく人もたくさんいます。 僕自身も奨学金を借りて大学に通いました。30代後半でようやく完済しましたが、奨学金が返済できずに苦しい思いをしている方も少なくないと聞きます。 今後、子育てに対してどういった手当が出てくるかは不明です。ただ子どもの教育にやさしい世の中になっていくことが望ましいですね。 さて、今後の世の中においては、今までは『大学は出ておきなさい』という学歴の風土が強かったと思いますが、大学に入ることを目的にしてきた子どもが社会で苦しむことも少なくないため、その目的が問われ始めています。 グローバル企業のエントリーシートや履歴書には学歴の欄がなくなり始めました。 そしてAO入試という、テストの点数ではなく、その人自身の経験や考え方を評価する試験も増えています。学費を払ってでも、そこで学ぶ理由をしっかり考えなければいけない時代になってきたということです」
現在、借りている人はどう返すべきか
「借りているものは必ず返さないといけません。 もちろん資金的なゆとりがある方は、なるべく早く繰り上げて返済したほうがいいでしょう。 ただ社会人になって最初は、給与もまだ低く、生活に慣れるのに必死ですよね。 無理にまとめた返済をして貯金がなくなってしまうことは避けたいところです。 今後変わってくるかもしれませんが、ここで少しファイナンシャルプランナー的な視点からアドバイスしましょう。 奨学金の種類には無利息と利息のあるものがあり、利息があるものでも低い基準になっています。 安い金利でお金が借りられるという点は、実はメリットもあるんですね。 最近話題の新NISAなどの資産運用は今では通常の知識になってきました。今ある貯金から奨学金の無理な返済をするのではなく、手元にあるお金を長期的な目線で3%以上の利回りを期待できるもので運用を行い、利息以上にお金を増やすことも1つの考え方としてはアリだと思います。 低い金利でお金を借りられることで、資金的な余裕がなくても学べるというのが奨学金の最大のメリットです。借金というつらい印象だけでなく、『金利が低いから得した』という価値観もあっていいのではないでしょうか」