ヘンリー王子とアメリカ大統領選挙のゆくえ。王室の伝統は? メーガン夫人の影響は?
2024年11月5日に行われる米国大統領選挙にむけて選挙戦が盛り上がる中、9月17日、米国在住のヘンリー王子とメーガン夫人が大統領選挙での投票を呼びかける声明を発表。英国ロイヤルメンバーによる大統領選への“介入”ではないかと話題になっている。 【写真】エリザベス女王と歴代米大統領の面会ヒストリー ここでは、英国王室と政治についてや、メーガン夫人の動向などを押さえながら、ヘンリー王子と米国大統領選挙との関係について見ていきたい。
ヘンリー王子、大統領選の投票を呼び掛ける
2024年9月17日(現地時間)、ヘンリー王子とメーガン夫人の慈善団体「アーチウェル財団」が、11月に控える米大統領選挙に向けて、有権者登録を呼びかけた。アーチウェル財団HPでは、未登録者に対し有権者登録を行うよう勧める個人的な手紙を書くムービーを公開したうえで(選挙権を行使するために事前に有権者登録を行う必要がある。)、「投票はただの権利ではありません。私たちのコミュニティの命運に影響を与えることのできる基本的な手段です。アーチウェル財団では、個々の支持政党に関わらず、参政権を行使することこそが公平な世界を作る要だと考えています。」という声明を掲載。 ヘンリー王子とメーガン夫人は、財団を通して投票を促すだけで積極的に候補者の支持を明らかにはしていないものの、米国大統領選に“介入”したと議論を呼んでいる。
実は、夫妻の大統領選への“介入”は、今回が初めてではない。 前回、2020年の大統領選挙の際にも、ヘンリー王子とメーガン夫人は投票を促すメッセージを出している。この時は自らが登場し、タイム誌のウェブサイトにて、投票に行くようにスピーチしたビデオメッセージを公開。ヘンリー王子は有権者に「ヘイトスピーチを拒否」するよう促し、メーガン妃は選挙を「私たちの生涯で最も重要な選挙」と語るなどし、夫妻は支持者を明言しなかったものの、片方の候補者を支持していることが明白な状態だった。
英国ロイヤルは、政治に関わるのはタブー
ヘンリー王子とメーガン夫人の上記行動が議論を呼ぶのは、“君臨すれども統治せず”という有名な言葉で表現されるように、英国王室は、政治において中立の立場をとることが慣例となってきたから。 英国は、君主の権限を法律で決め、国の方針は議会で決定するという立憲君主制を取っており、君主の主な任務として、国会の招集、閉会、解散や、勲章の授与などがあるものの、基本的にその存在は象徴的なものであり、実際に国を統治する権限は持っていない。 つまり、政権を握っている政党に関係なく、英国王室と議会は物事が円滑に進むよう協力しなければならないし、君主や他の王室メンバーは、政治的所属に関係なく、外国の指導者と交流し国際親善に努めなければならない。そのため、英国王室メンバーはこれまでも選挙で投票したり、公に政治的見解を表明したりなどしてこなかったのだ。