ターンベリーの魔法が解けた瞬間。09年全英オープンのトム・ワトソン【レジェンドたちの全英オープン④】
本日、18日(木)から、第152回全英オープンがスコットランド西部のロイヤルトゥルーンで開催。開催を前に、ゴルフ界を彩ったレジェンドたちの全英オープンを全4回で振り返る。最終回は全英オープンを5度制し、リンクスが得意なトム・ワトソンの物語をプレーバック。 トム・ワトソンの1977年と2011年の1Wスウィングを9枚の写真で見比べ! メジャー8勝のトム・ワトソンはリンクスが得意で全英オープンを5度制覇している。特に有名なのがジャック・ニクラスと死闘を演じ『Duel in the sun(真昼の決闘)』と称された1977年ターンベリーでの勝利だ。それから32年、59歳になったワトソンが2009年、思い出の地で奇跡を起こす寸前だった。最後はプレーオフでスチュワート・シンクに敗れたものの愛するリンクスで史上最年長チャンピオンの座に近づいた。
人工股関節に置き替える手術から9カ月しかたっていない09年7月、ターンベリーの舞台に戻ってきたワトソンは躍動した。往年のプレーを彷彿とさせるリンクスの達人ぶりを発揮し、初日ノーボギーの65をマークすると、3日目を終え後続を1打リードし単独トップに立っていた。 史上最年長メジャー優勝の可能性が高まった緊張からか最終日は出だしの3ホールで2つボギーを叩いて一時トップから後退した。しかし粘り強いプレーで7番と11番でバーディを奪い返し上位争いに食らいつく。 17番でバーディを奪った時にはニクラスとの『真昼の決闘』を知るギャラリーから大歓声が巻き起こる。最終18番を迎えたときにはクラブハウスリーダーのシンクに1打差をつけ単独トップに立っていた。 ティーショットは完璧だった。フェアウェイど真ん中からのセカンドショットは残り187ヤード。8番アイアンで「意図した通りのショットを打った」はずだった。しかし打球はグリーンを超え奥のラフまで転がった。 「おそらく9番で打つべきだったのでしょう。飛んでいる最中に突風が吹き打球の回転がほどけてしまった。ピンの真上に落ちたのにスピンがかからず奥まで行ってしまいました」