一流は一流を知る!イニエスタとポドルスキの初共演に芸術を見た
トラップから反転して、次の瞬間には前へ飛び出していく神業を後方で見届けた古橋は、自分のなかで常識が覆されるのを感じていた。J2のFC岐阜から今夏に加入して2試合目。体勢を崩しかねないプレーをイニエスタはいとも簡単に成功させ、さらに予測を裏切るプレーも見せた。 「相手のキーパーが飛び出してきた時点で、僕も横にいたのでパスが来るかなと思ったんですけど。あの場面でさらに抜きに行くところが、世界との差なのかなと思いました」 細かいキックフェイントを入れながらカミンスキーをもかわしたイニエスタの視界に、無人のゴールが飛び込んできた。トラップからゴールが生まれるまでわずか3秒。後方では藤田や徳島ヴォルティスから今夏に加入したDF大崎玲央(27)らの味方が、「すげえ」とあっ気にとられていた。 「素晴らしいパスを受けて、自分たちのホームでいいゴールを決めることができて本当に嬉しい。ルーカスのようなレベルの選手とわかり合うのは、ある意味で簡単なことだと思っている。大事なのはお互いのコンディションをどんどん上げて、さらにいい結果を残していくことだと思っている」 同じピッチの上にいた選手たちが、敵味方の垣根を超えてイニエスタの一連のプレーに幻惑されたなかで、ポドルスキだけは例外だったのだろう。イニエスタへ送ったシュートのような強めのパスが、意図したものだったと試合後に示唆している。 「もちろん今日のゴールみたいなシーンは、みんながみんなできるものではない。やっぱり選ばれたというか、そういう能力を持った選手だから、すぐにできたんじゃないかと思う」 一流は一流を知る、ということか。イニエスタがデビューした7月22日の湘南ベルマーレ戦、初先発した同28日の柏レイソル戦を、左足の甲を骨折していたポドルスキは欠場を強いられていた。 そして、スペインに残していた家族を迎えにいくために帰国したイニエスタは、敵地で行われたその後の2戦を欠場。今月5日の夜に再来日し、調整を開始した段階でけがが癒えたポドルスキも合流。ジュビロ戦で、サッカーファンが待ち焦がれた初共演が実現した。