“シェルター先進国”フィンランドの専門家「日常の中で市民から親しまれていることが大事」
北欧・フィンランドで有事の際に退避できるシェルターの整備などを担当する国民保護の専門家が来日し、28日、日本メディアの取材に応じました。都内のフィンランド大使館で取材に応じたのは、「国民保護」の専門家でフィンランド内務省の市民非常事態準備部の部長、ユッシ・コルホネン氏です。 国民保護の対策の1つが、有事の際に市民が退避できる「シェルター」。日本では、東京都が先月、都営地下鉄の麻布十番駅に「地下シェルター」の整備を進めると表明しました。実は小池都知事は去年8月、フィンランドの首都ヘルシンキで実際に地下シェルターを視察しています。フィンランドは「シェルターの先進国」で、1940年代から整備を始めたということです。 ◇ 大使館で開かれた日本メディアとの意見交換会で、コルホネン部長はフィンランドのシェルターについて説明しました。 フィンランドの人口はおよそ550万人ですが、国内のシェルターの収容人数は、人口のおよそ8割をカバーしているということです。また、首都のヘルシンキ市内に整備されているシェルターは5500か所にのぼっています。 コルホネン部長はこれだけ多くのシェルターが整備されていることについて、地下鉄の駅だけでなく、プールなどのスポーツ施設や共同住宅の地下にも併設されているためだと“秘訣”を明かした上で、こうした施設が日常の中で市民から親しまれていることが大事だと強調しました。 日本では国会でもシェルターの整備についての議論が進められています。こうした日本の取り組みについて、コルホネン部長は、シェルター建設に関するフィンランドの経験や情報について日本にも共有できるとした上で、すでにエストニアにはこうした知見を共有していると明かしました。 またコルホネン部長は、専門家として「国民保護」についても触れ、国民の保護は警察や消防だけが担うものではなく、市民やNGO、メディアなど社会の各分野からの協力が欠かせないと指摘しました。