なぜ”令和の怪物”ロッテ佐々木朗希は楽天戦で自己ワースト記録を積み重ねたのか…まさかの6回5失点KO
千葉ロッテの佐々木朗希(20)が自己ワースト記録ずくめで2敗目を喫した。3日に楽天生命パークで行われた楽天戦に先発した佐々木は6回に集中打を浴びてKOされ、試合もロッテが4-5と逆転負けを喫した。右手中指のマメがつぶれて緊急降板した7月1日の楽天戦以来、約1ヵ月ぶりの公式戦登板で自責点5、1イニング被安打5および4失点、さらに4連打とプロ初の屈辱を味わわされた原因に迫った。
劣悪な気象条件で160キロ超えのストレートはなし
4回裏に試合を約16分間中断させた雨足が、再び激しさを増した6回裏。強風にもさらされた敵地のマウンドで、佐々木がこらえ切れずに陥落した。 先頭の8番・茂木栄五郎を1-2と追い込みながら、真ん中に甘く入った140kmのフォークをライト前に運ばれた。送りバントで一死二塁となり、1番・西川遥輝を左打席に迎えたピンチで、フォークの制球がさらに乱れはじめた。 1-1から投じた3球目と4球目のフォークが、ともに高目に大きく浮いてしまう。何とかフルカウントとするも、勝負球に選んだ140kmのフォークがど真ん中の甘いコースへ落ちてきたところをライト前へ痛打されて1点を返された。 序盤は鋭い切れ味を見せていたフォークの乱れぶりと、強さを増した雨足の影響で滑りやすくなり、抑えが利かなくなった指先は決して無関係ではないだろう。高卒ルーキーの恋女房・松川虎生は、たまらずストレート中心の配球に変えた。 もっとも、これは楽天打線を喜ばせる変更となった。試合後のお立ち台に立った2番・小深田大翔は、マイク越しにこんな言葉を残している。 「本当にすごいピッチャーなので、しっかりと割り切って打席に入りました」 最速164kmのストレートと140km台のフォーク。どちらも超一級品だからこそ、佐々木にはどちらかに決めて対峙する。しかし、これまでの投球データで約57%を占めたストレートと約33%のフォークから、劣悪な気象条件下で後者が消えた。 しかも、この日に限ればストレートのMAXは158km。今シーズン14度目の先発で、初めて160km台に到達しなかった。小深田の言葉通りに割り切る、つまりはストレートだけに狙いを定められる状況が図らずも生まれた。 4回裏の第2打席で、外角低目に投じられた152kmのストレートを遊撃内野安打にしている小深田は、すべてストレートで攻めてきた3球目、内角の甘いコースに入ってきたところをライト前へ弾き返してチャンスを広げた。 若きバッテリーは3番・浅村栄斗にもストレートを続ける。迎えた2球目。外角低目の厳しいコースに投じた155kmをバットの先で引っかけさせたが、ボテボテのゴロをサードの安田尚憲がお手玉。内野安打となって一死満塁にしてしまう。 初回に1点を返すタイムリーをセンター前に放っている4番・島内宏明を左打席に迎えた大ピンチで、バッテリーは再び変化球から入った。初球の126kmのカーブでファウルさせるも、2球目と3球目のフォークは再び高目に浮いて外れてしまう。 ストレート一択となった状況は、チャンスに「絶対に(走者を)返してやろうと思っていた」と燃える昨シーズンの打点王の集中力をさらに高めた。2-2から真ん中やや外寄りに投じられた156kmのストレートを強振すると、快音を残した打球は三遊間を破り、2人の走者を迎え入れる逆転タイムリーに変わった。 この時点で球数は「86」だったが、80球前後の制限を設けていた井口資仁監督がここで一塁側ベンチを飛び出し、ルーキー右腕・廣畑敦也との交代を告げた。佐々木にとってプロ初の走者を残してのイニング途中での降板。廣畑は一死満塁とさらにピンチを広げ、6番・辰己涼介にフルカウントから押し出し四球を与えてしまった。