青木さやか「ギャンブル依存症について考える。〈極度の興奮〉を求め、パチンコがやめられなかった。嘘をつくのも一つの癖だ」
2024年3月、大谷翔平選手の専属通訳だった水原一平がさんが違法賭博に関与したとしてドジャーズを解雇、大きな衝撃が走りました。その後も「ギャンブル依存」の問題が大きく報じられ、青木さやかさんも『news23』で自身の経験について語りました。今回は「ギャンブル依存だった過去を持つ人」として振り返って綴ります。 【写真】NEWS23、出演直前のスタジオ * * * * * * * ◆ギャンブル依存症は病気である 4年前、この『婦人公論.jp』の連載で「パチンコがなかなかやめられなかった過去があった」という内容のエッセイを書いたところ、翌日にはヤフーニュースで「ギャンブル依存症克服タレント!」となっていたことに驚いた。 依存症かどうかというのは自己判断はできない。医師の診断があってはじめてその病名がつくことになるので、正確にはわたしはギャンブル依存症ではないのだが、おかげさまでギャンブル依存症関連のイベントや取材が増え(どんな経験も仕事になるのだ)ギャンブル依存症とはどんなものなのか、おおまかに人に説明できるくらいまでは学習した。 まず、ギャンブル依存症というのは病気である、ということ。 やめられないのはだらしがないからだ、意志が弱い、とか言うことではないらしい。誰もがなる可能性があるというもの。 「花粉症になる人とならない人がいるようにね、ギャンブル依存症になる人とならない人がいるんだ」と説明されることもある。
◆ギャンブル依存症の癖 かつて、わたしはパートナーに嘘をついてパチンコに通っていた。 多分、娯楽の範疇をこえてやっているようにみえたのだと思う。 そもそもパートナーが、わたしにパチンコを教えてくれたのだ。 だが、彼は程よくパチンコと付き合い、わたしはその面白さに連日通い詰めた。 一緒に行くこともあったが、早く切り上げて帰ろうとするのを「もう少しで出るから!ここまでやって勿体ないから!」と、よくわからない理屈で、わたしだけ閉店まで粘ることもあった。 「30分で帰るから」「この一箱が終わったら帰る」「明日は行かない」「もう行かない」 これらの嘘をつきながら、しかし、あっという間にバレて、「ごめんごめん」で済ませていた。 嘘をつくのはパートナーを失いたくなかったからであり、心配させたくなかったからであり、またパチンコをやめる気もなかったからだ。 ギャンブル依存症の癖の一つに「嘘をつく」というものがあるようだが、こちらはわたしも然り、よく理解できる。