青木さやか「ギャンブル依存症について考える。〈極度の興奮〉を求め、パチンコがやめられなかった。嘘をつくのも一つの癖だ」
◆親にも嘘をついた わたしは親にもお金を借りていたことがある。 最近のインタビューで 「ご両親には、ギャンブルでお金がなくなったから、ギャンブルで取り戻したいから貸してほしい、と頼んだんですか?」 と聞かれた。 「いやいや、そんなことを言って貸してくれる親はいないでしょう!ははは、まあ生活費だとか嘘をついて借りるわけですよ」 と答えると、 「なるほど、嘘をついて、親からお金を借りていたんですね」 と深刻にインタビュアーから言われてしまうと、まあ、はい、そういうことに、なります、と下を向くしかない。 嘘を一つつくと、次の嘘のハードルは、かなり下がる。それに一つ嘘をつくと、それを守るために嘘の上塗りをしていかなくてならないので、自分でも、何が嘘だったのかわからなくなったりして、嘘をついている、という罪悪感をあまり感じなくなっていたように思う。
◆ギャンブルから抜けられない理由 ギャンブルから抜けられない理由の一つは 「過度な興奮状態を感じたいから」 ということも学んだ。 たとえばパチンコでいえば、爆音と光、そして「大金が当たるかもしれない!」と感じたときの興奮、緊張感。 生活の中で幸せだと感じることは、ギャンブル以外にももちろんある。 子どもとの時間、いい景色、植物の成長、心地よい風…。 だが、それらは非常にしみじみとした幸せであり、ギャンブルで感じられる「極度の興奮」とは全く違うものなのだ。 だから、わたしはきっと、ギャンブルに行きたいな、と今も思っているのだと思う(行ってないけど)。
青木さやか