理想像を押し付けるより、スタッフのベストを――湯浅政明監督が語る「現場主義」のアニメ制作
深刻になりそうな時ほどふざけたい
2年前から1日に1個、ツイッターに短いアニメーションをアップしている。オリジナルのキャラクターがくるくる回ったり踊ったりする。 「コロナ禍になった時に、(映画『夜は短し歩けよ乙女』で主人公の声を演じた)星野(源)さんから、みんなにシェアする曲をつくるから、何かやりませんかというメールをもらって。自分もこういう時だからこそできる何かがあるはずだと探していたので、これだ!!と、飛びつきました(笑)。以前VJをした時につくったものを出してきたり、新しくアニメーションソフトでつくったりして流しました。深刻になりそうな時ほどふざけたいんです。他愛のないアニメを描いて、タイムラインに流しておきたいなという。それが続いている感じです」 『犬王』の後はしばらく休養をとることを宣言している。「これから何を?」と聞くと、笑顔をたたえたまま飄々と答えた。 「アニメ以外のこともやりたいし、勉強したいこともあるんですね。いろいろやってみたいっていうだけなんですけどね」 --- 湯浅政明(ゆあさ・まさあき) 1965年生まれ。福岡県出身。主な作品に『マインド・ゲーム』『夜は短し歩けよ乙女』『DEVILMAN crybaby』『映像研には手を出すな!』などがある。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の大賞を史上最多となる4度受賞。2017年に『夜明け告げるルーのうた』でアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門最高賞を受賞。最新作『犬王』は5月28日公開。