【追記】タイヤ選択が明暗分ける。インド出身マイニが繰り上がりで初優勝/FIA F2第9戦レース1
7月20日、2024年FIA F2第9戦ブダペストのスプリントレース(決勝レース1)が行われ、参戦4年目のリチャード・フェルシュフォー(トライデント)が今季初優勝を飾った。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は13位となった。 【暫定優勝のフェルシュフォーが失格に。トップチェッカーから失格は“今季2度目”】 ※追記:レース後、暫定優勝のフェルシュフォーに失格の裁定が下され、クッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)が繰り上がりでFIA F2初優勝となった。宮田も繰り上がりで正式結果は12位となった。 スプリントレースの上位10グリッドはリバースグリッドにより決定され、10番手タイムを記録したフェルシュフォーがポールシッターとなった。 フロントロウ2番グリッドにクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)、2列目3番グリッドにランキング3位につけるゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)、4番グリッドにアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が続いた。 しかし、フォーメーションラップ開始時にマローニのマシンはエンジンストールを引き起こし、マローニはピットスタートへと変わった。 タイヤ交換義務のない28周のスプリントレースは、曇り空のもと気温26.4度、路面温度36.2度となるなかスタートを迎えた。なお、このスプリントレースでは10台がオプションタイヤ(ソフト/レッド)、12台がプライムタイヤ(ハード/ホワイト)と、タイヤ選択が分かれている。 プライムタイヤを履いたフェルシュフォーがターン1のホールショットを守る一方、事実上の3番手スタートとなったアントネッリはオプションタイヤ(ソフト/レッド)の蹴り出しの良さを活かし、続くターン2でプライムタイヤのマイニをパスし2番手に浮上。さらに、アントネッリは4周目のターン1でフェルシュフォーをパスすると、ラップリーダーに浮上する。 また、上位勢では4番手ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)、5番手デニス・ハウガー(MPモータースポーツ)、6番手エンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)、7番手ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)らがオプションタイヤを装着していたが、フェルシュフォーとマイニのプライム勢2台がふたをする展開となり、その間にアントネッリは後続とのギャップを広げにかかる。 一方、18番手スタートの宮田はオプションタイヤでスタート。ジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)にかわされ序盤は19番手に後退するも、10周目のターン1~3でプライム勢のアムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)とマルティの2台を続けてパスし、17番手にポジションを上げた。 一旦は2秒差まで広がったアントネッリとフェルシュフォーのギャップは、12周目には0.8秒まで縮まった。とはいえ、プライム勢の2番手フェルシュフォー、3番手マイニも決してタイヤに余裕はなく、トップ3台はタイヤマネジメントを続けつつ、1.5秒以内でのバトルを続けた。 そんななか、14周目にはプライム勢のアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)が、オプション勢のボルトレートを攻略し7番手に浮上する。レース後半を迎え、オプション勢とプライム勢のペースが逆転し始める。 オプション勢のアントネッリはタイヤのデグラデーション(性能劣化)に悩まされ、時折タイヤスモークを上げつつもポジションを守り続けた。しかし17周目のターン1で限界が訪れた。アントネッリは白煙とともにコースオフを喫し、4番手に後退する。 これでフェルシュフォーがトップ、2番手マイニ、3番手マルタンス(オプション)というトップ3へと変わった。アントネッリはタイヤが限界を迎え、18周目にフィッティパルディ、ハウガー、ハジャルにかわされ7番手まで後退するとピットに入り、プライムタイヤに交換。最後尾の22番手まで後退する。 また、同じくオプション勢のボルトレート、ジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)、ザク・オサリバン(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成)らもピットインすることになり、レース後半のオプション勢は苦しい戦いが続いた。 そんななか、8番手スタートでプライム勢のアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)が光る走りを見せた。コース上でオプション勢のハウガー、フィッティパルディを攻略すると4番手に浮上。21周目には自己ベストを更新し、8秒先を走る3番手マルタンス(オプション)の背中を追うが、マルタンスも巧みなペースコントロールを見せる。 なお、終盤の24周目にはオプション勢のフィッティパルディの左フロントがバースト。フィッティパルディはかろうじて自走でピットに戻るがこれで最後尾に後退することに。 28周目を終え、FIA F2参戦4年目のフェルシュフォーがトップチェッカーを受け今季初優勝、通算4勝目を飾った。3月に行われた第2戦ジェッダのスプリントレースではトップチェッカーを受けるも、レース後車検で失格となってしまったフェルシュフォーにとって、待ちに待った勝利となっただろう。 2位にマイニ、3位にオプション勢最上位のマルタンスが続いた。4位ハジャル(プライム)、5位ハウガー(オプション)、6位フランコ・コラピント(プライム)、7位ポール・アーロン(プライム)、8位テイラー・バーナード(オプション)までがポイントを獲得となり、上位8台中5台がプライム勢という結果となった。 宮田はオプションタイヤでスタートするも、終始安定したペースで周回を続けた。ファイナルラップの最終コーナーまで続いたマローニ、アントネッリらの猛追からポジションを守りきり、13位でチェッカー。ポイント獲得には至らなかったものの、宮田の巧みなタイヤマネジメントが際立った一戦となった。 ※追記:レース後、暫定優勝のフェルシュフォーに失格の裁定が下され、マイニが繰り上がりでFIA F2初優勝となった。宮田も繰り上がりで正式結果は12位となった。 続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は21日の日本時間17時05分(現地時間10時5分)から、タイヤ交換義務を有する周回数37周、もしくは60分+1周で争われる。 ■2024年FIA F2第9戦ブダペスト スプリントレース正式結果 Pos./No./Driver/Team/Time/Gap 1/9/K.マイニ/インビクタ・レーシング/44’28.935 2/1/V.マルタンス/ARTグランプリ/9.564 3/20/I.ハジャル/カンポス・レーシング/15.005 4/11/D.ハウガー/MPモータースポーツ/24.643 5/12/F.コラピント/MPモータースポーツ/26.161 6/17/P.アーロン/ハイテック・パルスエイト/32.825 7/25/T.バーナード/AIXレーシング/37.451 8/8/J.コレア/ダムス・ルーカスオイル/40.904 9/7/J.クロフォード/ダムス・ルーカスオイル/49.354 10/3/O.ベアマン/プレマ・レーシング/52.613 11/15/R.ヴィラゴメス/ファン・アメルスフォールト・レーシング/54.021 12/6/宮田莉朋/ロダン・モータースポーツ/54.665 13/5/Z.マローニ/ロダン・モータースポーツ/54.913 14/4/A.アントネッリ/プレマ・レーシング/55.108 15/23/R.スタネ/トライデント/55.302 16/10/G.ボルトレート/インビクタ・レーシング/56.073 17/21/J.マルティ/カンポス・レーシング/57.437 18/24/J.デュルクセン/AIXレーシング/59.822 19/2/Z.オサリバン/ARTグランプリ/64.702 20/16/A.コルデール/ハイテック・パルスエイト/65.863 21/14/E.フィッティパルディ/ファン・アメルスフォールト・レーシング/1Lap /22/R.フェルシュフォー/トライデント/DQ ・ファステストラップ(総合):#10 ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング)1分32秒266(24/28) 170.936km/h ・ファステストラップ(得点対象):#20 アイザック・ハジャル(カンポス・レーシング)1分34秒227(25/28) 167.378km/h ・ペナルティ: #16 アムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト):10秒タイム加算/走路外走行によるアドバンテージ #22 リチャード・フェルシュフォー(トライデント):失格/技術規則第3.4条3項違反 [オートスポーツweb 2024年07月20日]